2022年12月09日 1751号

【迫る第二沖縄戦にどう向き合うか/ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 新垣邦雄さん】

 11月10〜19日、日米共同統合演習「キーン・ソード23」が実施された。沖縄を戦場とする「台湾有事」作戦を想定した実戦訓練だ。陸上自衛隊の地対艦ミサイル、米軍のロケット砲「ハイマース」が投入され、与那国島の公道を陸自の戦闘車が走行した。民間空港・港湾、公道を使用し、国家総動員的な体制で戦争準備が進んでいる。

 南西諸島の作戦は非人道的だ。治療・搬送訓練では負傷した自衛隊員・米兵を救護するだけ。住民は捨て置かれる。石垣島「離島奪還」作戦の自衛隊内部資料には、隊員の「残存率」30%(=ほぼ壊滅)とあるが、住民の生存率は記載されていない。隊内誌には「住民混在の国土防衛戦争」と書かれている。

 小さな島にミサイル基地を置けば、当然そこにミサイルが飛んでくる。住民は逃げようがない。避難シェルターは「軍事強化のアリバイ」でしかない。「占拠された島を奪い返す作戦」だから、住民は敵ミサイルと自衛隊ミサイルの二度、標的にされてしまう。

 防衛省は「継戦能力」と言い出している。大量の最新・防御不能のミサイルを南西諸島に配備する。米軍は核搭載可能な中距離ミサイル配備を計画。北京を狙うこともでき、中国の反発は高まる。安保法制は「自衛隊の自動参戦装置」。これに「敵基地攻撃」論が加われば、中国軍が在日米軍を攻撃していない段階で自衛隊が中国軍を攻撃する事態も懸念される。

 犠牲は沖縄だけにとどまらない。在日米軍総司令部は東京の横田基地にある。南西諸島だけが攻撃目標とされる保証はない。

 私たちに何ができるか。知ること、学ぶことだ。ミサイル要塞化写真展を広げよう。国防は政府の専管事項ではない。主権者である私たちが「ここを戦場にするな」と声を上げよう。日米中の戦争はアジアの大迷惑。政府まかせにしない国際連帯が必要だ。

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