2007年09月28日発行1003号

【イラク戦争と「貧困」がテーマ 「月桃の花」歌舞団公演・川崎】

 「月桃の花」歌舞団は9月8日、川崎市内で平和ミュージカル「希望の歌」を上演した。イラク戦争と「貧困」をテーマに取り上げた意欲作に反響が広がっている。

 第1部は「フリーター、アジアの『英霊』と出会う」。日本軍に協力したとされる沖縄の住民や韓国・台湾の人々が英霊として靖国神社に祀られる。フリーターの若者は、このねじ曲げられた事実と必死に闘う父親の姿を理解できない。若者はアルバイト先で店長から怒鳴られ、けがをして解雇される。今も昔も犠牲となる命は同じだと気づき、「使い捨てはまっぴらだ」とソロで歌う。「殺すな」「生きさせろ」のフレーズの大合唱に会場から共感の声が寄せられた。

 第2部「ワーキングプア、戦場へ行く」は、仕事を求めて戦火のイラクに出稼ぎに行った夫がPTSD(心的外傷後ストレス障害)になって戻ってきた夫婦の生活を描く。心の病に苦しむ夫、乳飲み子をかかえファミレスとスーパーをかけ持ちで家計を支える若い妻。夢の中でIFC(イラク自由会議)の人々の人間らしい生き方を知った夫婦は、「わたしは人間、当たり前の暮らしがほしい」と前向きに生き始める。フリーターやワーキングプアといった現代の貧困を正面から取り上げるステージとなった。

関心示す若者

 公演に向け歌舞団は、JR川崎駅前で8回のストリートパフォーマンスに取り組んだ。タイトルにあるワーキングプアと書かれた横断幕を掲げ、エイサーと歌で公演参加を呼びかけた。

 団員の1人、熊谷昌司さんは「横断幕をジーッと見ている人がいたり、『こういうことに取り組んでいるんですか』と関心を示し、声をかけてくる若者もいた。街頭で話ができてよかった」と手応えを語る。『神奈川新聞』や『東京新聞』は「貧困と結びつく戦争」「アマ劇団が平和訴え」の見出しと写真入りで案内記事を掲載した。

 熊谷さんは「新しい団員が加わり、若い団員を中心にステージを作り上げることができた。今後、IFC連帯や靖国訴訟など国際連帯を強めるとともに、多くの若者と貧困に立ち向かう命の連帯の社会運動を作り出していきたい」と話した。

 10月8日に国分寺、28日には荒川でエイサーまつりを開く。「戦争と貧困」を許さない地域の運動と連動する中で、公演は輝きを増していくにちがいない。

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