2008年03月28日発行1028号

東恩納琢磨さんを囲んで SDCCがジュゴンイラスト・写真展

【米ジュゴン訴訟を報告】

 ジュゴン保護キャンペーンセンター(SDCC)は3月15〜16日、都内でジュゴンイラスト・写真展を開催した。直前の14日には沖縄防衛局が環境影響評価(アセスメント)方法書を確定し調査強行の動きが強まる中で、沖縄から「じゅごんの里」代表の東恩納琢磨さんを招き、米ジュゴン訴訟などについて話を聞く会が両日にわたってもたれた。


延べ100人が来場

 会場には、各地から寄せられた約50点のジュゴンイラストや辺野古・大浦湾の海洋生物の写真が展示され、沖縄本島北部の豊かな自然の息吹があふれた。新基地建設が進めば、ジュゴン・サンゴなど生物への被害は計り知れないことを伝えた。2日間で延べ100人が訪れた。

 「2010年を国際ジュゴン年に」と書かれた布にメッセージを寄せるコーナーでは、ジュゴンの絵や「この海を守ろう」と書き込む親子の姿が見られた。寄せ書きは、今年10月にスペイン・バルセロナで開かれる国際自然保護連合の世界会議に持ち込まれる。

 16日の東恩納さんを囲む会には約20人が参加した。

 東恩納さんは「この海を埋め立てることはとんでもない。基地をつくってしまえばこの自然は戻ってこない。環境省などは、地元から声を上げてくれ、と言い、守る姿勢がない」と、基地建設を進める国への怒りは尽きない。

 今年1月、米サンフランシスコ連邦地裁の沖縄ジュゴン訴訟で原告側が勝利判決を手にした。訴訟は、ジュゴンを守ろうと日米の環境団体・個人が米国の国家歴史保護法を根拠に基地使用者となる米国防総省を相手に同地裁に提訴していたもの。

 原告の一人でもある東恩納さんは「使用者であるアメリカの人にもこの問題を伝えようと裁判し、いい判決が出た。米国防総省はジュゴンを守る法的手続きを怠っている、影響があるのかないのか調査しろと命じた。アメリカのアセスメント法では、影響のある時はゼロオプション(計画の取り止め)の選択肢がある。今後に期待している」と話した。

 その上で、「しかし、基地はあくまでも日本政府がつくる。自然を残せと一人ひとりが声を上げなければ、止まらない。ビデオや写真などを活用し、小さな集まりであってもこの問題を知らせてほしい」と呼びかけた。

「声を上げなければ」

 会場から「ジュゴンは何頭いるのか」「沖縄県として環境問題にどう関わろうとしているのか」「国は基地振興策としてお金を出すと決めた。その影響は」などの質問が寄せられ、東恩納さんは「3頭は確認されている。県知事は基地建設を容認する姿勢だ。振興策で地元は栄えているかといえば、すたれている。一時的に建設会社は潤うかもしれないが、地元の人には回ってこない」などと答えた。

 前日の囲む会にも30人以上が参加。質疑も活発に行われ、手応えのある集まりとなった。

 SDCCの小平裕美さんは「ショップに置いたチラシで知って来てくれた人がいて、すごくうれしかった。何かをしたいと思っていても、何をしていいか分からない人が多いと感じる。今回のような取り組みをどんどんアピールして、どうしたらいいのか考えている人に届くようにしたい」と抱負を話した。

 東京での会に先立って3月14日、大阪市内でもSDCC主催の米ジュゴン訴訟報告会が開かれ、東恩納さんが講演した。

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