2008年07月04日発行 1041号

【日本の平和運動の中に完全に定着 無防備地域宣言運動全国ネットが総会】


 無防備地域宣言運動全国ネットワークの第5回総会が6月22日、首都圏では初めて川崎市内で開かれた。同市の無 防備条例直接請求署名が法定数を突破して終了したことを受け、議会での条例制定に向けたステップにしようと川崎での開催となった。総会後には、シンポンジ ウム「無防備地域運動を100自治体に広げていくために」がもたれ、パネリストとして東京造形大学教授の前田朗さん、前国立市長の上原公子さん、前北海学 園大学教授の森啓さん、沖縄ネットワークの西岡信之さんが無防備運動への期待や課題について話した(シンポジウムの発言は次号掲載予定)。

川崎・尼崎から報告

 最初に、平和無防備条例を実現する川崎の会共同代表の須見正昭さんが「私たちは議会に対し、市民の声にどう応えるのかを問う位置に立った」と、これから が本番との思いをにじませ、総会の川崎開催に歓迎あいさつ。

 続いて、同時期に署名活動を行い、いずれも法定数を突破した川崎の会と尼崎市に平和無防備条例をめざす会が特別報告をした。

 川崎は5月30日、33517筆の署名を選挙管理委員会に提出。6月19日に審査が終了し、有効署名数は30513筆となった。市長への本請求は7月2 日で、議会での審議・採決は7月22〜24日に行われる予定。

 川崎の会共同代表の国井潤さんは「戦争国家づくりの動きに対し、市民からノーの意思を表明し、対案を示した。多くの市民と平和について対話できた。今後 は、議員宛て要請はがきをはじめ市長や議会各会派・各議員への要請を強め、条例制定を実現したい」と決意を語った。

 尼崎も5月30日、法定数の2倍を超える15632筆を選管に提出し、現在、審査中。尼崎の会代表の近藤伸一さんは「市内の各団体の有志の方に、署名集 めで頑張っていただいた。私たちもメーデー会場や憲法集会、主要な駅頭など人の集まるところにでかけ、200筆、300筆という数を集め、開始12日目で 法定数を突破した。大事なのはこれから。賛同する議員の協力で、議会内で無防備の学習会を開き、委員会や本会議の審議を深めようと計画している」と条例制 定実現へ期待を込めた。

全国24自治体に拡大

 総会でははじめに事務局より総括・方針案を提案。

 成果として「4年間で連鎖的に全国24自治体で直接請求に取り組み、署名は41万筆を超え、この運動は日本の平和運動の中で完全に定着した」ことなど4 点を上げ、「戦争国家づくりの下で、住民自治の力で平和なまちをつくり上げる運動として、憲法を活かし改憲を許さぬ運動として大きな位置を占めるに至って いる」と評価した。

 課題では、無防備条例の実現が未達成であること、この運動を全国100自治体に広げるために様々な個人・グループに共感、理解を形成していく必要性が指 摘された。

 方針案では、@この1年間で条例制定の自治体を実現するため議会の多数派形成の取り組みを強化することAこの1年間で10以上の自治体で直接請求運動を 取り組むこと、など8項目が提案された。

課題は条例の実現

 議論になったのは、無防備条例への無理解が依然根強い議会をどう変えるか。参加者から「全国ネットの方針は議会対策を強化するとしているが、具体性に乏 しい」との発言が出されたのに対し、別の参加者が「全国ネットの事務局だけにそれを求めてはいけない。それぞれの地域で、議員が言っていることとしている ことが違うことを多くの市民に知らせ、圧力にしていくことが大切だ」と述べるなど、活発な意見交換が行われた。

 総会は最後に、総括・方針を拍手で確認。共同代表として上原公子さん、大阪経済法科大教授の澤野義一さん、無防備・平和のまちをつくる札幌市民の会の谷 百合子さん、前田朗さん、参議院議員で無防備地域宣言・沖縄ネットワーク代表の山内徳信さんの5人を選出した。
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