2008年11月07日発行 1058号

【米イラク安全保障協定についてのIFC(イラク自由会議)の声明 10月17日 IFC中央評議会第8回総会】

 米政 権は軍事駐留と政治介入、経済資産と富に対する絶対的権限を確保するためにイラクを一つの協定にしばりつけようとしている。

 協定は、条文や米側の要求がどうあれ、イラク戦争・占領を遂行した目的が大量破壊兵器の保持疑惑とかイラク国民を独裁体制から解放するとか民主主義の普 及とかいったこととは無関係だったことを改めて明らかにしている。この協定は、中東における米国の覇権強化とその帝国主義政策の世界的拡大の新たな段階を 意味する。

 占領を支持する政府はこのような協定を、1990年以来イラクに課せられている国連の制裁措置の解除と主権の回復につながるとして正当化しようとしてい る。占領のシナリオと政治プロセスにはまり込んでしまっている野党各党は、イラクの主権を損なうとの理由で協定のいくつかの項目に反対している。これは、 米国の権限が少しでも修正・縮小されればイラクがこの恥ずべき協定に調印するのは何の問題もない、ということである。一方、イランの聖職者政権とイラクに おけるその同調者・かいらいたちは、自分たちがイラクの主役となり、占領軍・米国に取って代わる勢力となるために、協定成立を阻止しようとしている。

 大国ロシアの台頭と巨大経済恐慌は世界に直接の影響を与えるだろう。米一極世界が終わりを迎えた今、この協定は、中東でこれまでと同じ力を維持し中東の 警察官の役割を果たそうとあらゆる努力を試みている米政権にとって死活的に重要なものとなる。

 米政権がイラク国民に押しつけようとしているこの協定は、実際、恒久的な軍事駐留を通じて、イラクの政治・安全保障・経済のあらゆる重要な部門に対する 米国のコントロールを永続化するものだ。そのような米国の存在の合法化はイラクの安全保障を弱めるだけでなく、中東全体の安全保障を危うくするだろう。そ してイラクは、テロリスト諸集団が米国とイラクの米軍恒久基地に象徴される国際テロリズムと戦う永遠の戦場であり続けるだろう。

 経済分野では、イラクの富は一握りの米国企業・仲介業者の手に渡り、貧困と飢え、失業、非識字、債務が圧倒的な支配力をふるう社会となってしまうだろ う。

 政治のレベルでは、自由・平等・福祉を求める運動もそうした運動を行う自由も必ず抑圧されるだろう。米国企業および軍を支持するあらゆる勢力の利害と激 しく衝突するからだ。逆に言えば、イラクは中東における自由を求める運動が後退と抑圧を強いられる反動の拠点と化すだろう。

 IFCはこうした協定を拒否する。それはイラク国民と中東諸国民の利益に明らかに反する。また、イラク政府や国民議会の中のいかなる政党が調印しようと も、協定は合法性を持たない。

 占領を支え、占領者の周りに群がる者たちは、イラク国民大衆を裏切る最大最悪の共謀に自らが加わっていることを知らなければならない。

 こうした協定を葬り去る闘いは、占領を撤退させ占領政策を打ち倒すIFCの闘いの一部である。

 占領を終わらせ、すべての占領政策を一掃することなしに、安全も安定もない。
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