2008年11月07日発行 1058号

【弾薬庫撤去は町民の声 京都・精華町で初の直接請求署名 「議会審議が楽しみ」】

 大 阪・寝屋川市に平和無防備都市条例の制定を求める直接請求署名は、最終的に法定数の2倍を超える7940筆となり、10月24日選管に提出された。一方、 10月26日に終了した京都・精華町の直接請求署名は1346筆に到達。法定数の2・5倍だ。ともに条例案は12月議会で審議される予定だ。

 「精華町で初めて住民の直接請求が実現します!」「祝園(ほうその)弾薬庫の撤去が町民の声です!」

 これが、10月26日のカウントダウン集会で高らかに宣言された言葉だ。

 「無防備・平和都市精華をつくる市民の会」が直接請求するのは、「平和・自治基本条例」だ。

 その第4条には祝園弾薬庫の撤去がはっきりと掲げられている。

 精華町は関西文化学術研究都市の中心地で、国立国会図書館関西館をはじめ多くの学術研究施設を有する街だ。しかし、かつて「東洋一の弾薬庫」と言われた 祝園弾薬庫が町内の6分の1もの広大な敷地を占めて居座っている。

 同時に条例案は、住民の命と暮らしを守るために、「平和」と「自治」が一体不可分となりすべての基本にすわることを宣言するものだ。

「署名で存在を知った」

 請求代表者の神田高宏さんが署名運動を振り返る。

 「最初の1週間は長く感じたが、振り返ってみれば、あっという間の1か月でした。3日目で法定数を超え、16日目で2倍に。街頭ではほぼ飽和状態になっ ていると感じました。有権者が増え続けており、法定数が546筆となりましたが、受任者からの返送もあり、なんとか2・5倍に達しました」

 市民の反応については、「この署名を通じ、弾薬庫のことを市民と直接対話できたことが大きな収穫で、弾薬庫撤去は町民の声です」ときっぱりと言い切っ た。

 町は旧集落とニュータウンに分かれ、人口が増えているのはもちろんニュータウンだ。「対話した約7割の住民が弾薬庫の存在を知りませんでした。この署名 で初めて知り、絶対にいらないねと署名に協力してくれました。旧集落やお年寄りは弾薬庫のことをもちろん知っており、『でもすぐに移転は無理では。お金も もらっているし』との声もありましたが、弾薬庫はいらないと願う住民は9割に達していることが、この署名運動で明確になりました」

 京都府南部では自衛隊基地や施設のある街で、無防備条例運動が盛んになっている。昨年取り組んだ宇治市には大久保駐屯地や黄檗(おうばく)弾薬庫があ る。祝園弾薬庫は京田辺市にもかかっている。カウントダウン集会には、宇治市民や京田辺市民もかけつけた。「月桃の花」歌舞団は最終日も歌やエイサーで宣 伝行動を盛り上げた。

 「弾薬庫の撤去を正面に掲げた議会の審議が楽しみ」と、みんなが精華町の議会審議の行方に注目している。

選管に署名提出 −寝屋川市

 同じく12月議会での審議が予定されている大阪・寝屋川市では10月24日、7960筆の署名を選挙管理委員長に直接手渡した。

 請求代表者4人全員がそろって署名提出した後、直ちに議員要請行動を行った。要請内容は、委員会に参考人を招致して活発な論議をすること、事前に条例案 の説明会や学習会を開催することだ。市長には、意見書作成前に直接面談することを求めた。

 兵庫・尼崎市の議会審議が切り開いた参考人招致で実質審議の成果を積極的に生かす第2ラウンドの取り組みが寝屋川市でも精華町でも始まった。
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