2008年11月07日発行
1058号
【<寄稿>世界NGO歴史平和大会/「月桃の花」歌舞団が参加/新たな文化ネットの出発点】
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月8〜12日、韓国ソウルのオリンピックパークで開催された「第2回世界NGO歴史平和大会」(主催;北東アジア歴史財団)に、日本から「月桃の花」歌舞
団が参加し、ミュージカルで「靖国問題」を発信し、好評を博した。歌舞団の垣内由香さんから報告が寄せられた。
「靖国問題」を発信
今回、「第2回世界NGO歴史平和大会」に「月桃の花」歌舞団が招待されたのは、太平洋戦争被害者補償推進協議会共同代表のイ・ヒジャさんの推薦による
ものでした。私たちが「いつかソウルで公演したい」と伝えていたのを覚えてくれていたのです。
大会は、「東アジア歴史和解のための市民社会の役割」をテーマに開催され、開幕式、基調講演の後、6つのテーマに分かれてのシンポジウム、また17に及
ぶ分科会、夜は韓国の文化を見せる「コリアンナイト」やピースコンサートなど多彩なプログラムでした。世界23か国から約200人の参加者が集いました。
歌舞団は、まず開幕式に合唱とエイサーで出演。「朝露」をハングルで歌い始めると、会場からどよめきと拍手。
さらに、国際交流の夕べとピースコンサート、キョンギ大学では「アジアオペレッタ〜NO!ハプサ」を公演しました。これは、靖国合祀取り下げ訴訟を起こ
しているイ・ヒジャさん、チワス・アリさん、金城実さんの話をもとに、韓国・台湾・沖縄を結び、歌にしたものです。日本ではミュージカル「ワーキングプア
アジアの『英霊』と出会う」として、2006年12月から東京・大阪をはじめ全国7か所で公演、今年3月には沖縄県読谷村で公演し、大きな反響を得まし
た。
ハングルの字幕をバックに、歌が始まるとシーンと聞き入り、最後「NO!ハプサ」とロウソクを掲げると、大きな拍手が沸き起こりました。
これを観たイ・ヒジャさんは「この世界大会で、ヤスクニを知らない人たちもたくさんいる。どうやって靖国問題を伝えようかといろいろ考えていたが、歌舞
団が見事に果たした。映画『あんにょん・サヨナラ』を観て、こんなステージをつくってくれて、本当にありがとう」と感想を述べています。
世界大会には、台湾原住民の音楽グループ「飛魚雲豹(フェイユウウンバオ)音楽工団」も招待されていると聞き、交流をとても楽しみにしていました。2年
前、「アジアオペレッタ〜NO!ハプサ」を制作する際、映画『出草之歌』を観て、私たちは、チワス・アリさんを演じました。その映画に登場する「飛魚雲豹
音楽工団」と「月桃の花」歌舞団との交流会を持つことができたのです。
台湾グループと交流
台湾からは、ピーナン族とタイヤル族の18歳から23歳という若いメンバー合計14名の参加団でした。チワス・アリさんが「私たちがもっとも大切にして
いることは、自分たちの民族の侵略された歴史や文化を学ぶこと。ここにいるメンバーは、はじめから知っていたのでなく、この飛魚雲豹音楽工団に入り歌う中
で、歴史を学んできた」と紹介。「原住民の生活はとても苦しい。もともと村には温泉があるが、その仕事は漢民族で占められている。それで村を出て都会に働
きに出るが、今、フィリピンからの外国人労働者が多く、仕事を奪われている」と台湾における原住民の現状を説明します。
今年、歌舞団もミュージカル「ワーキングプア希望宣言!」でフィリピンから出稼ぎにきた労働者レベッカを描きましたが、グローバル資本主義による労働や
生活の破壊が、世界中で起こっていることを実感しました。
参加した歌舞団員は「歌舞団ステージのときに、台湾の人たちが手拍子や踊りで応援してくれてとてもうれしかった。歌舞団が世界に出ていっているんだな、
と実感した」「沖縄、韓国に続き、今度はぜひ台湾で公演し、NO!ハプサの声を広げたい」と国際連帯を肌で感じることができました。
夜の交流会は、中国語、英語、韓国語、日本語、そしてジェスチャーが入り混じり、焼肉を食べながらの開催です。途中からは「飛魚雲豹音楽工団」と歌舞団
が歌い、踊りあいました。
チワス・アリさんは「私たちは初めて出会うのですが、すごく親しみを感じます。台湾に来るときはぜひ連絡をください。みなさんのような友だちと一緒に活
動していきたい」とこれからの連帯を強調。交流会をとりもってくれたイ・ヒジャさんは「台湾と日本の若者の力を感じた。言語は違うけれど、靖国問題をとも
にやっていける、また新しい運動ができると感じた」と力強く語りました。
今回の訪韓は、歌舞団にとって、韓国と台湾、日本を結ぶ新たな文化ネットワークの出発点となりました。
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