2008年11月07日発行 1058号

【奨学金は免除・猶予を 学生支援機構へ要請】

 奨学 金制度を運営する日本学生支援機構への要請には、返済をかかえる当事者やその親ら9人が参加した。

当事者が直接要請

 要請事項は、@現在の限定的な免除・返還猶予措置の拡大、基準の明確化、より積極的な広報活動の実施A延滞金の減免基準の明確化、これまでの減免件数な どの公表B中途障害者に対する減免基準の明確化C検討中とされる奨学金滞納者情報の信用情報機関への通知制度の中止、の4点。当事者からは、奨学金返還の 経済的負担に苦しむ実態がぶつけられた。

「権限ない」と努力放棄

 対応した広報課長は「育英会として始まったこの制度がただの教育ローンへと変えられてきていることを懸念しており、機構の廃止という声も上がる中、制度 存続に努力している」と表明。一方で、「当機構は制度の実施機関にすぎない。免除・猶予措置拡大は制度維持の根幹を揺るがす。各種措置の基準の明確化は、 地域による相違もあり困難。個別の状況をみて判断していく。本省の決定する方針を覆す権限もない」と、貧困の社会状況に応じた制度の改革、財源確保の努力 を放棄する回答に終始した。

「自己責任ではない」

 参加者からは「機構の姿勢は、返還滞納者が悪いという自己責任の風潮に加担するもの。最前線で困窮状態を把握できる機関としてその情報を積極的に活用す ることもできるはずだ」「そんな姿勢では、結局機構廃止につながるではないか」など批判の声が上がった。要請した当事者は「返還滞納者を問題視する報道も される中で、返還に困っている人は自己否定感に見舞われている。要請を続け、要請内容の実行を獲得したい」と語っている。
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