2008年11月14日発行 1059号

【1059号主張/グローバル資本を規制せよ/いまこそ民主主義的社会主義へ】


過剰資本の価値破壊


 いま全世界の政府、中央銀行は恐慌への対策に必死である。米国のサブプライムローンに端を発した金融危機は全世界に広がり、世界恐慌となっている。この 恐慌はグローバル資本主義の必然的帰結である。

 グローバル資本主義の新自由主義路線は資本活動のすべての規制を取り払い、利潤のためならなにをしてもいいという世界を作り出した。サブプライムローン の証券化、その証券の格付け、信用保証の組み合わせはまさに詐欺というべきものであった。グローバル資本は徹底的に利益を上げた。資本は大きく膨れ上がっ た。膨れ上がった資本はさらに高い利潤を要求した。しかし限度に来た。労働者の賃金を飢餓水準にまで引き下げ高利潤を獲得してきたが、もうこれ以上搾取が できないところまで搾取を強化した。もうこれ以上儲けられないのである。儲けられない資本は過剰資本である。それは価値破壊されることになる。その現れが 株の大暴落である。

救済すべきは市民生活

 グローバル資本主義は自ら暴走し破綻したのである。したがって、この危機打開策はグローバル資本主義の新自由主義路線そのものを撤廃することでなければ ならない。

 ところが、各国政府と中央銀行は明確に新自由主義路線を撤回するとは当然のことながら言わない。金融機関への政府資金注入と労働者の解雇で乗り切ろうと している。

 しかし救済すべきはグローバル資本主義の被害者であって、巨額の利益を得てきたグローバル資本ではない。

 われわれも金融機関をつぶしてはならないと考える。しかしそれはグローバル資本救済のためではない。市民生活防衛のためである。政府資金を注入するなら ば、当然経営に関与し、企業の行動を規制する。いまグローバル資本主義の勝手し放題を規制し、やめさせていくるチャンスである。この危機を放置してグロー バル資本主義に世界をつぶされてはならない。グローバル資本主義に未来はない。生活し労働する市民・労働者の意思が貫徹する世界を作り出さねばならない。 それが民主主義的社会主義である。

新自由主義の根本転換を

 麻生内閣は定額給付金とか高速道路料金の引き下げとかを危機対策として打ち出しているが、そんなことではなにも解決しない。市民・労働者の生活不安の解 消を図ることが直ちに必要なのである。

 派遣、請負、期間工などの非正規労働者が解雇されている。ただでさえ生活するのが困難な非正規労働者は解雇されては生存そのものが困難になる。非正規労 働者の解雇をやめさせ、正社員化すること、そのために労働者派遣法を廃止することが絶対に必要である。小泉・安倍の新自由主義路線で犠牲となった市民生活 を向上させるために、社会保障を拡充すること、社会保障費2200億円削減の撤廃、後期高齢者医療制度の廃止、障害者自立支援法の廃止が必要である。また 世界に平和を作り出すためにも、財源確保のためにも、自衛隊撤退、新テロ特措法廃止、軍事費削減が必要である。

 まさに新自由主義路線の根本的転換が必要なのである。展望は民主主義的社会主義にある。

      (11月3日)
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