2008年11月14日発行 1059号

【1年間の雇用継続決定 大西真波さんの正社員化闘争 許さなかった使い捨て】

 大阪市内でアルバイトとして働いている大西真波さんの正社員化を目指す闘い。3回の団体交 渉と労働審判を経て9月、会社側に「1年間の雇用継続」を約束させた。10月25日に開かれた「正社員化闘争 中間報告集会」で大西さんは「闘いの最中に 不安や悩みが多くてやめたくなったこともあったが、支えてくれる仲間がいたから闘うことができた」と語った。

葛藤と緊張の中で

 2006年、大西さんは写真専門学校を卒業後、大阪市内にある印刷関連会社に入社。「1年間のアルバイト勤務後に正式採用」という約束だったが、会社側 が正社員にすることを拒否したため、なかまユニオンに加入し、正社員化を目指して闘いを始めた。

 会社は約束を守るようにと、ユニオンの組合員や支援者と一緒に団体交渉や社前ビラまきをした。自分の要求は間違っていない、会社のやっていることに問題 がある――分かってはいても一つ一つの行動すべてに確信が持てたわけではない。「このままずっと闘っていかないといけないのだろうか」。闘うことをめぐっ ての葛藤とプレッシャーの連続だった。

 外では仲間がいても、会社では一人になってしまう。毎朝出社するのに緊張し、通勤中は「何かされるのじゃないだろうか」と不安で頭がいっぱいになる。実 際、周りの人が自分のことを「ビラまきとかして、過激で怖い子」とうわさしているのも耳にした。仕事の面でも、業務から外されているように感じることが多 くなった。突然仕事の担当を変えられたり、資料整理ばかりさせられたり。正直、ストレスやいら立つことも増えた。

 それでも、会社側が起こした労働審判で、ほとんど例のない1年間の雇用契約を認める審判が9月に出され、自分の訴えが社会的にも認められたことは大き かった。「裁判官に自分の訴えが伝わったのが良かった」と彼女はうれしそうに語った。

行動した大西さんに共感

 中間報告集会では若者の参加が目立った。特に20代の若者から彼女の闘いに共感を覚えたという意見が多く出た。

 職場復帰を目指して闘っている男性(23歳)は「大西さんの活動を見ていて、納得いくまで闘おうと思うようになった。職場には戻れないと思っていた気持 ちを変えてくれた」。4か月前に会社を辞めて現在は家に引きこもっているという男性(22歳)は「入社する前に聞いていた仕事との違いにショックを受けて 会社を辞めた。僕は何も起こさなかったけど、行動している大西さんには頑張ってもらいたい」。入社1年目の男性(23歳)も「一生懸命やっていない人なん ていないですよ。本気で働きたい人がやりたいことができない世の中は寂しいと思います」と述べた。

 闘いを振り返って大西さんは「一番成長できたことは、自分のやっていることは間違っていないと思えるようになったこと。何かをやらないと変わらない。こ れからどうなるかは見えないけど、やれるだけ自分の力でやっていきたい」と語っている。
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