2008年11月14日発行 1059号

【後期高齢者医療制度の廃止を 鉄建公団 訴訟原告 佐久間さんが5日間ハンスト】

 「当事者が立ち上がれば闘いは広がる」。後期高齢者医療制度の廃止を求める佐久間忠夫さん (鉄建公団訴訟原告、77歳)のハンスト(断食闘争)は、厚生労働省前から国会前に場所を移し、31日午後7時まで5日間にわたって貫徹された。

 一人一人が行動する

 日中はおおむね好天に恵まれながらも、日が傾くと寒風が身にしみる5日間。佐久間さんは中盤「ちょっと疲れが…」と弱音も出て周囲を心配させたが気力で 持ちこたえ、元気に最終日を迎えた。その源は、日に日に広がった支援と共闘の輪だ。四国からの上京飛脚キャラバンを終えて間もない中野勇人さん(北見闘争 団、46歳)も行動を共にした。現場に駆けつけた支援者はのべ300人に上る。

 国会議員も3人が激励。最終日には山内徳信参議院議員が「高齢者の声を国会へ届けようと命をかけるすばらしい人と出会えた。こういう声がなくなったとき 日本は滅びる」と激励した。

若い人たちとともに

 最終日には、障害者自立支援法廃止を求めて6500人の障害者が国会請願し、ハンスト会場の向かい側を通過した。ハンスト支援者からの「一緒に頑張りま しょう」の呼びかけに、車椅子に乗った請願の人々から拍手がわき、シュプレヒコールが車道をはさんで交わされる。「障害者も年寄りもいじめるな」「給油に 金を使うなら福祉に回せ」。請願を終えた障害者が次々と佐久間さんの前を通り、不自由な手をカンパ箱に差し伸べ、署名をする。「これが本当の浄財。ありが たくて涙が出る」の言葉がもれた。

 ハンスト終了時間が近づいた。夕暮れの中、増え続ける支援者が次々にリレートークする。ある当事者は「メールで行動を知って来た。何とかしたいと思って いたが、どうしたらいいかわからなかった。新しい政治を私たちの手でつくるために自分の意志を示しましょう」。

 佐久間さんは、この行動を孫世代の若者と共に成功させることを望んでいた。「年齢で人を分断することは認められない」と制度の根幹を批判しているから だ。

 20代の若者は「みなさんの運動を受け継いで、今の社会を変えるために仲間を増やしていきます」「佐久間さんにいつまでも頼るのは申し訳ないような気持 ち。これからは若い私たちこそ」と声を上げた。

動けば運動が広がる

 「後期高齢者医療制度を廃止させる会」呼びかけ人の一人、遠藤恭さんは「新自由主義は人を人として扱おうとしない。イラク戦争でも明らかだ。佐久間さん のおかげで障害者のデモを迎えることができた。すばらしい経験をさせてもらった」。

 共に貫徹した中野さんがマイクを握ると一段と大きな拍手が。「運動の根っこは一つ。国家権力を相手に勝つには、やれることをすべてやりきらなくては。常 駐オルグ先の四国へ帰って『人らしく生きよう』を掲げて12月フェスタを成功させる」と決意を表明した。

 佐久間さんがしっかりとした足取りであいさつに立つ。「心配したみんなから反対される行動だったが、やりきってよかったと心から思っている。一つの行動 を起こしたことが次の闘いへとつながった。動けば動くほど運動は広がる。見知らぬ人からこれほどの署名とカンパをもらえたのは初めて。やはり後期高齢者医 療は国民全体の問題だと思った。一人一人が考えて自分の運動をつくることが安心して暮らせる日本につながる」。支援者から差し入れられたカユをすすり、 「うまいなあ」。笑いと大きな拍手が一斉に起こった。
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