2008年11月21日発行
1060号
【1060号主張/戦争と新自由主義路線の歴史的敗北/反戦・反貧困のグローバル化を】
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ブッシュ共和党の大敗北
11月4日の米大統領選挙は歴史の転換点というべき結果を印した。民主党オバマ候補が選挙人数で364対163(11/7現在)と共和党マケイン候補に
大勝。同時に行われた上下両院議員選挙でも民主党が大きく議席を伸ばし、クリントン政権時代以来16年ぶりに民主党が大統領と連邦議会をともに制した。あ
らゆるマスメディアが「初の黒人大統領の実現」「アメリカン・ドリーム」と興奮して報道している。
しかし今、まず明らかにしなければならないのは、@この民主党大勝の歴史的意味は何かAそして「変化」を掲げるオバマ新政権に対して平和と民主主義をめ
ざす運動はどうのぞむか―である。
戦争・貧困ノーの勝利
この大統領選挙は米国で進行する社会的変容を鮮明に表した。1億3660万人という推定投票者数は過去最高の数字であり、64・1%という投票率もケネ
ディ大統領を誕生させた1960年の選挙を上回った。オバマ候補に寄せられた約6400万票はきわめて特徴的な構成を示している。黒人の95%、ヒスパ
ニックの66%が、年収1万5千ドル(約150万円)未満の市民に限れば73%が、オバマに投票したのである。
オバマ大勝を生み出したのは、米国全土を覆う「戦争ノー」「貧困ノー」「マイノリティ差別ノー」の声なのだ。この世論のうねりはすでに2年前の中間選挙
で、「イラク戦争に対する国民投票に転化した」(UFPJ[平和と正義のための連合]レスリー・ケーガン)と言われたようにくっきりと現れていた。共和党
はこの時、上下両院ともに12年ぶりに少数派に転落した。
それから2年後の今回の大統領選挙は、この動向を変えなかったばかりか、ブッシュ共和党批判が米国社会全体・全階層に一段と深く拡大していることを劇的
に浮きぼりにした。これは、レーガン政権以来28年間の軍拡と戦争、市場原理主義と新自由主義の歴史的敗北にほかならない。
真の「変化」は闘いから
闘う側は新政権にどうのぞむべきか。「変化」を掲げるオバマは、イラクからの16か月以内の撤兵、地球温暖化対策の転換、核兵器全廃条約の実現などをう
たっている。一方で、アフガニスタンを重点にした対テロ戦争の継続を表明し、ブッシュが提案した金融救済法に賛成した。
米反戦運動はブッシュ政権の8年間、「アメリカがしなければならない闘いはテロとの戦いではなく、国内の貧困との闘いだ」(バーバラ・リー下院議員)と
主張し続けてきた。あらゆる戦争をやめ、100兆円に上る軍事費を雇用に、住宅に、医療に、教育に転換すること。真の「変化」とは、この根本的転換に踏み
出すこと以外にない。
したがって問われるのは、「新政権が何をするのか」ではなく、運動で包囲し「変化」の実行を迫ることだ。この攻勢的運動が鍵を握る時代に入ったという認
識が重要だ。
ベルギーの3大労組全国スト(10/6)をはじめヨーロッパは労働攻勢の局面に入っている。今こそ声を上げよう、反戦・反貧困の闘いのグローバル化を、
と。世界はまぎれもなく、戦争も貧困もない社会を築く運動の攻勢の時代に入ったのだ。
(11月7日)
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