2008年12月12日発行
1063号
【漢字も読めない麻生/グローバル資本主義にはふさわしい/首相は厚顔無恥がいい】
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国民感情を逆なでする「失言」の連発で窮地に立たされている麻生太郎首相。漢字の読解力が低い、経済の基礎知識を知らないことも露呈し、支持率は下がる
一方である。多くの人々は「こんな愚か者がなぜ首相に」と思うだろう。しかし、他者の痛みがわからない愚か者だからこそ、麻生はグローバル資本の代弁者に
ふさわしいのだ。
今やトリプルKY
新KY首相と呼ばれるようになった麻生首相。元祖KYの安倍晋三元首相は、K(空気が)Y(読めない)とバカにされたが、麻生はこれに加えて、K(漢字が)Y(読めない)とK(経済を)Y(よく知らない)の、トリプルKYなのだそうだ。
麻生が漢字を苦手としていることは、今や小学生でも知っている(主な誤読例は表参照)。母校の学習院大学で行われた日中交流行事では「1年のうちに、こ
れだけハンザツに両首脳が往来したのは例がない」とあいさつし、周囲を驚かせた。用意された原稿の「頻繁(ひんぱん)」を正しく読めなかったのだ。
もちろん、どんなに頭のいい人でも思い込みというものはある。漢字の読み間違いが多いぐらいで、「マンガ脳」だの「アホウ太郎」よばわりするのはどうかと思う。大体、マンガにも失礼だ。
しかし、「経済通」を自任してきた麻生が、実は経済の基礎知識すらおぼつかないとなると、話は別である。麻生は株に満期があるかのような発言をしたが
(10/29)、定期預金や保険じゃあるまいし、株に満期などない。こんな人物が日本の総理として金融サミットに出席したかと思うと情けなくなる(まあ、
会議には英単語の綴りが怪しいブッシュ米大統領も出ていたが)。
また、最近の麻生は「失言癖」が止まらなくなってきた。「医師には社会的常識がかなり欠落している人が多い」発言で自民党の有力支持団体である日本医師
会を怒らせたかと思うと、「給付金なんていらないというプライドもある人もいっぱいいる」発言で定額給付金の実現に奔走してきた公明党を絶句させた。これ
では政府・与党も麻生をかばいきれなくなる。
首相の求心力低下にともない内閣支持率は下がる一方で、FNNの世論調査(11/29〜30)ではついに3割を切ってしまった(27・5%)。
差別意識のかたまり
麻生の「失言」は今に始まったものではない。代表的な事例を年代順にみていこう。
「美濃部革新都政が誕生したのは婦人が美濃部スマイルに投票したのであって、婦人に参政権を与えたのが最大の失敗だった」(83年2月)
「野中広務のような部落出身者を日本の総理にはできないわなぁ。」(01年)
「安さだけなら、核(武装)の方がはるかに安い」(03年5月)
「創氏改名は、朝鮮人の人たちが『名字をくれ』と言ったのが始まり」(03年5月)
「高齢者の85%は、周りが迷惑するくらい元気だ」(06年9月)
「たらたら飲んで食べて、何もしない人の分の金(医療費)を何で私が払うんだ」(08年11月)
きりがないのでこの辺でやめておく。麻生の「失言」がたんなる“おバカ”発言ではなく、差別意識と歪んだ歴史観の産物であることが分かっていただけただろうか。
痛みに鈍感が取り柄
麻生は「筑豊の炭鉱王」とよばれた麻生財閥の御曹司である。麻生財閥は強制連行してきた朝鮮人や被差別部落出身の労働者を低賃金で酷使し、莫大な利益を
あげた。そうして築いた財力にものを言わせ、麻生家は中央政界に進出していった。つまり、麻生の今日の地位は労働者の搾取の上に成り立っているのである。
麻生がこのことを少しでも自覚していたら、社会的弱者や差別を受けてきた者の怒りを買うような言動は慎むはずである。だが、麻生にそのような配慮は露ほどもない。
一連の発言は「オレは生まれつきえらい。下々の者とは違う」と思いあがっている証拠である。それゆえ麻生は、平等や社会的権利という概念を激しく嫌う。事実、麻生が社会保障制度を“貧乏人のたかり”としか思っていないことは、前述の医療費をめぐる発言をみれば明らかだ。
また、「オレは生まれつきえらい」と思っているので、勉強という努力をしない。取り巻き連中がおだててくれるのに慣れきっているため、自分と異なる意見
や耳の痛い忠告は聞こうとしない。だから、いつまでたっても間違いが直らないし、それを指摘されると不愉快な態度をあらわにする。本来ならば、この手のタ
イプに政治家が務まるはずないのである。
ところが、グローバル資本主義の下では、他者の痛みを繊細に感じとる能力などない方が政治家として都合がいい。厚顔無恥でいいのだ(麻生やブッシュの場合、無知も加わる)。なぜなら、グローバル資本主義自体がカネ儲けのためなら人殺しも厭わぬシステムだからである。
こういう連中に世界の命運をゆだねてはいけない。麻生“新KY”首相は、即刻退場すべし。 (O)
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