2009年01月30日発行 1069号

【家族も巻き込む返済問題 沖縄なかまユニオン学習会に集まる怒りの声 奨学金は金貸し業か】

 奨学金返済問題のホットライン、ワンデイアクションで減免申請など注目を集める沖縄なかま ユニオンの取り組みについて同ユニオンの西岡信之さんから報告が寄せられた。

回収会社から催促状

 初めて見る顔だ。ホットラインで話した人たちが続々と会議室に入ってくる。1月12日、成人の日の3連休最後の午後7時。沖縄でもこの冬一番の寒さを記 録し、冷たい雨が降っている。こんな夜に人は集まるのか。しかし、12月7日の奨学金ホットラインと15日のワンディアクション・日本学生支援機構との交 渉報告を予定していた沖縄なかまユニオン第5回学習会には、過去最高の16名が集まった。

 「集団申請をしてもらって、一昨日、日本学生支援機構から配達記録で封書が届いた。書類不足で1月22日までに再提出するよう書いてある」「私のところ にも…」「延滞金減免はできないとある。どうしたら…」

 比嘉勝子代表による奨学金ホットラインとワンディアクションの報告が終わるや、質問や意見が次々と出される。あっという間に2時間が過ぎ去った。返済で 困っている借用者とその家族から出された訴えを紹介したい。

 借りた本人の兄夫婦と3人で参加した母親Aさんは「機構に電話しても機械の声がして、どうしたらいいかわからない」と話す。「弟の連帯保証人になった が、民間会社から催促がきた。こんな個人情報を民間の会社に渡しておかしい」と30代前半の兄夫妻。民間会社からのハガキを見せてもらうと「債権管理回収 業務受託に関する通知」とあって発信は「日立キャピタル債権回収株式会社」。日本学生支援機構が、奨学金延滞者への取り立てのために契約した民間会社だ。 請求金額約21万円を一括払いするように書いてある。「ここに電話して、分割の話をしても聞き入れてくれない。とにかく一括して払えとしか言わない。どう したらいいか」とAさん。兄も「私のところにも請求がくるが私も生活が厳しくて無理」。奨学金返済は、本人だけでなく家族全員を巻き込む問題になってい る。

政府機関にも責任追及

 延滞3か月で「個人信用情報機関に個人情報を提供する」問題をめぐって、「同意書を書かないように言われても、卒業間際の娘に大学側が説明会を開き、手 引きの提出書類一式の中には『同意書』とある。普通なら出さざるを得ないようになってしまっている」と怒りを示す別の母親。それに同調するように、Aさん も「個人信用情報機関が、全国銀行個人信用情報センターと聞いて、いいことをするところと思っていたが、違うんですね。こういうところから3か月でブラッ クリストに載せるなんてひどいですね」。

 また、「支払わないとは言っていない。一括が無理だから、分割にしてほしいという声も聞かないにようになってしまっている」という声も。

 出てくる話は、どれも「奨学金」というより金貸し業。「貧困ビジネス」になり下がってしまった機構の姿がはっきりと見えてくる。

 次回の機構への交渉では、「日立キャピタル債権回収株式会社」が分割の相談も聞き入れずサラ金並みの脅しで家族を苦しめている問題を取り上げ、分割納付 を認めさせていくことや、何も知らされずに提出してしまった「同意書」を取り戻す要求をつきつけたい。また、奨学金の民営化を画策する閣議決定について内 閣府を追及し、監査・指導で機構側を締め付けている文科省、財務省にもぜひ怒りの声をぶつけたい。

 機構だけでなく、政府機関への要請、国会対策も行なっていることを報告する中で、参加者からの沖縄なかまユニオンへの信頼と大きな期待が感じられた。
ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS