2009年11月13日発行 1108号

【インフルエンザワクチン 「これで安心」は大ウソ <寄稿> 医療問題研究会 林敬次さん 効果は不明、命を脅かす副作用 焦って接種は絶対にしないで】

  少し前のタミフル礼賛報道から、最近ではインフルエンザワクチン(以下、イ・ワクチン)がマスコミをにぎわし、注射は1回か2回か、輸入ワクチンは危険か どうかなどが議論になっています。10月19日からは医療従事者に対する「新型」イ・ワクチンが接種されはじめ、「接種して安心」などと大々的に報道され ています。これらは「新型」イ・ワクチンの効果のなさと副作用を隠す、煙幕のような気もします。この煙幕の向こうにある事実を検証します。

 ワクチンも、一般の薬と同じ方法で、効果を調べなければならないのですが、「新型」イ・ワクチンではそれが全くされていません。季節性イ・ワクチンと作 り方が同じだから効果があると、勝手にしているだけです。それでは、季節性イ・ワクチンの効果は証明されているのでしょうか。

 日本のイ・ワクチンは、ウイルスを分解してその一部をつかうものですが、欧米のものは製造方法の違いがあるものもあります。

効く証拠はない

 日本のイ・ワクチンは歴史上、科学的な方法で効果を証明した研究は一つもありません。1970年に発表された15〜17才を対象とした、たった一つの科 学的な研究では、発熱、呼吸器症状、病欠のいずれも改善できなかったのです。にもかかわらず政府は、1976年には小中学生全員への接種義務化を強行しま した。その後、効果への疑問と副作用の発生が問題になり、群馬県で5年間にわたり、ワクチン接種をした学校としなかった学校での発熱率や病欠率をくわしく 調べた結果、何の効果もないことがわかりました。強い批判をあびて、国は1987年には接種の義務化を廃止、1994年からは任意接種となり、接種数は激 減しました。

 莫大な利益を失ったワクチン会社は、今度は販売目標を高齢者としました。学童に効かないのに高齢者に効くというのも変ですね。そこで、厚生科学研究費補 助金付きの「インフルエンザワクチンの効果に関する研究1998−9年」(主任研究者:神谷齋)が「日本で最も信頼性の高い研究」として、死亡率を8割も 下げると発表したのです。

 同時に、高齢者のインフルエンザ関連の死亡が逐一報道され、ワクチンをしていない施設が非難され、瞬く間にワクチン接種が広がりました。「革新政党」も、この研究をまともに検討せず「公費助成」を求め、接種拡大をあおりました。今と同じです。

 しかし、先の研究たるやひどいもので、もともと比較的病気の少ない人たちにワクチンをして、ワクチンをしなかった病気を多く持っている人たちと比較した のです。病気の少ない人たちの死亡率が低いのは当然です。私は、公表されたデータを分析して、この研究はマスコミの宣伝とは逆にワクチンに効果がなかった ことを示すものだと、学会などで発表しました。当時は反響は少なかったのですが、最近は厚労省さえこの「最も信頼性の高い」研究をあまり紹介しなくなりま した。

 幼児に対する研究も、もともと病気の少ない子どもにワクチンを接種して、病気がちでワクチンをしなかった子どもと比較するいい加減な調査ですが、これを根拠に厚労省は子どもでも「2〜3割は効く」と言っているのです。

世界でも証明されず

 以上のように、日本のワクチンの効果は証明されていないのです。そこで、厚労省はみんなに効くわけでないが、「症状を軽くする」とごまかしています。し かし、そんな研究結果はどこにもありません。また、ワクチンで脳症が防げるかのように思われていますが、そんな事実はありません。日本のワクチンに効く証 拠がないことがばれてきたので、学者によっては、外国のワクチンが効いているから、日本のも効くのだと居直っています。

 私が何回も紹介している「コクラン共同計画」という世界的研究グループは、イ・ワクチンについても調査しています。このグループは、欧米では大変な権威 を持っています。結論は、喘息、心臓血管障害、などの多くの病気の患者や、健康成人、さらに健康な子どもなどすべてで、はっきりした効果は証明されていな い、というものです。施設内の高齢者には効くとした著者に、私は批判文章を送り、「もっと厳密な研究が必要」だと確認をとりました。このやりとりは論文の 一部として採用されています。

 結局、世界中を見回しても、ワクチンの効果は証明されていないのです。

 「季節性」のワクチンも、これまで少数ながらも重篤な副作用を出しています。熱など軽微なものは多数出しています。

 「新型」は、成人200人の臨床試験で、1人にアナフィラキシーという生命に危険性がある副作用を出しています。たった200人でこのような副作用が出 た場合は、数万人に実施する前に、より慎重な検討が必要なことは常識です。医者に聞いてみてください、風邪症状に、命を脅かす副作用が200人に1人でる 薬を使いますか、と。

国策の犠牲はご免

 しかし、日本の医療従事者は寛容です。10月19日から医療従事者は「これで安心」(新聞見出し)と接種を受けました。案の定、予想より少ないとはいえ 2万人の調査では初期1週間で4人に重篤な副作用が報告されました。その他の調査では重篤は2人で合計6人でしたから、あわてた厚労省は、すでに85万人 に接種しているのでそんなに多くない、としていました。ところが、その後の報告では重篤が合わせて19例に増加しており、危険なワクチンには変わりがあり ません。

 「新型」は、国がワクチン製造企業から一括してワクチンを購入、それを薬問屋に売却します。問屋は医療機関から注文をとりますが、「季節性」ワクチンと 違って返却はできないそうです。ワクチン会社はどれだけ生産しても決して損はしないし、国も流通企業も損はしません。しかも、宣伝費は全く不要です。厚労 省やNHKを始めすべてのマスコミがニュースや解説・記事で宣伝してくれるのです。

 この間の輸入などを巡る「混乱」は、日本のワクチン企業と、多国籍企業との闘争の反映かと思っています。イ・ワクチンを製造する国内4企業は、合わせた 売上が年間800億円程度の企業です。これらの企業に対する異例とも思える優遇政策は、生物化学兵器などのいわば危機管理政策の一つとしてワクチンが扱わ れていると考えなければ理解しがたいものと思います。

 このようなワクチン政策の犠牲にならないように、あせって接種しないで、副作用などにも注目をお願いします。
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