2010年05月07日発行 1132号

【4・25沖縄県民大会に9万人 「基地は作らせない」を全国に発信】

  4月25日、沖縄県読谷村で開かれた「米軍普天間飛行場の早期返還と移設に反対し、国外、県外移設を求める県民大会」には9万人が参加。同日、宮古島で3 千人、24日には八重山で700人が集った。民意は、普天間基地の無条件返還・新基地建設阻止にあることがはっきりと示された。

 壇上には、2日前にようやく参加を表明した仲井真弘多知事をはじめ、代理出席2人を含めれば県内41市町村の全首長が並んだ。

 開会あいさつは市町村を代表した翁長雄志那覇市長。「新政権の『最低でも県外』公約に県民は大きな期待をもったが、これ以上県民の心をもてあそぶのは許さない。この大会を、鳩山首相はかたずをのんで見守っている。力強く沖縄の心を発信していこう」

 実行委員会を代表して主催者あいさつに立った高嶺善伸県議会議長が「県民の訴えは普天間ノーで一つになっている。普天間基地がなくなっても全国の米軍基地の70%が沖縄。なぜ、普天間一つすら解決できないのか」と怒りを示した。

歴史を変えるチャンス

 続く知事あいさつにはとりわけ大きな注目が集まった。仲井真知事は「普天間飛行場の固定化は絶対に認められない。加重な基地負担を大幅に軽減するためにも政府は責任を持って公約どおりの解決策を示せ」と訴えたものの、「返還」「移設反対」という言葉は避けた。

 地域からの決意として自治体首長や漁連関係者。普天間基地を抱える伊波洋一宜野湾市長は「米軍がグアムやテニアンへの移設計画を進めているのだから代替 施設は必要ない。代替探しでは基地問題は永久に解決しない。多くの国で政権交代によって基地撤去が実現した」と無条件返還を強く求めた。稲嶺進名護市長は 「住民が闘い続けて辺野古案は14年間にわたって何の進展も生まれなかったのに、今また辺野古案が浮上してきた。節操のないやり方は県民を愚弄するもの だ。県民世論の盛り上がりで基地沖縄の歴史を変える大きなチャンスが生まれている。心を一つに日米両政府に県内移設ノーの声をつきつけよう」。

決議を持って上京へ

 会場が参加者であふれかえる中、さらに「続々と詰めかける参加者で周辺は大渋滞」と司会者が報告すると大きな拍手がわく。

 若い世代の発言として普天間高校3年の2人が並ぶと、一転して会場は静まり返った。岡本かなさんは「1年生の時は基地の騒音に『うるさい』と叫んだこと もある。ヘリは相変わらずうるさくても、『仕方ない』と思う今の自分がいる。みなさんも考えるのをあきらめていないか、考え直してほしい。一人ひとりが考 えれば何かが変わるはず」。志喜屋成海さんは「琉球王朝の時代から平和を愛し人と人のつながりを大切にしてきたのが沖縄の心。基地を何とかしたいという沖 縄の心が一人でも多くの人に届いて、全国の人々が自分の問題として受け止めてほしい」。そして2人は高らかに声を合わせた。「未来は私たちの手の中に」

 大会参加者は「日米両政府が普天間飛行場を早期に閉鎖・返還するとともに、県内移設を断念し、国外・県外に移設を」と求める決議を採択。この決議を携え て100人の上京団が政府や全議員への要請行動を翌日から展開するとの行動提起も確認された。会場でのカンパは500万を超えた。締めくくりには、9万人 が心を一つに頑張ろう、とこぶしを突き上げた。

【市民の願いは無条件返還 鳩山政権にイエローカード】

 迷走を続ける鳩山政権への警告カードという意味を込めて大会のシンボルカラーはイエロー。「移設」先として浮上したうるま市から参加した前田テル子さん は「基地はいらない」と大書した黄色い布で全身を包んで自転車で3時間かけて会場にたどり着いた。「少しでも周りへの宣伝になるのでは、と思って。普天間 は即時閉鎖が当然。モズクやエビのいる豊かな海をつぶす新しい基地なんて許すわけにはいかない」

 その隣にはバスを連ねて参加した宜野湾市民が陣取った。「海兵隊のヘリは夜中までわがもの顔で飛び回っている」「いつ学校の上に落ちるかわかったものではない」「他の所に移せなどと私たちは求めていない。閉鎖しかない」。無条件返還こそが市民の願いだ。

「自分たちも声をあげ」

 会場いっぱいの人の波に「すごい力だ。本当にうれしい」と喜ぶのは名護市から来た渡具知武清さん。米軍基地前で毎週のキャンドル行動を続けてきた。「基 地は作らせない、が県民の願いであることがはっきりと全国へ発信できた。政府も作れないことがわかったはずだ。これまで以上にみんなと力を合わせて運動を 進めていける」。その一方、知事の発言には不満も感じた。「もっとはっきり、県外へ、と言ってほしかった。県民はこれだけの力を出したのだから、首長とし てその波に堂々と乗るべき」

 若者たちもそれぞれの思い託した。大会前のプレイベントで大きな拍手を受けたのは、沖縄の伝統劇を現代風にアレンジしたうるま市の中高生ら50人。高校 2年の宮里成明さんは「自分たちの暮らす場に基地ができるのか、とみんな非常に衝撃を受けた。戦争でつらい思いをした人たちが子や孫のために、と立ち上 がっている。自分たちも声をあげてがんばっていきたい」。
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