2011年04月15日発行 1178号

【1178号主張/制御不能の福島原発事故/東電・政府追及の行動を】

拡大する放射能被害

 福島第1原発事故の放射能汚染が拡大し続けている。原発敷地内からは、プルトニウムが検出された。半減期が長く、毒性が強い放射性物質である。体内被曝 すると、がんを引き起こす可能性が高い。原発近くの海水からは、原子炉等規制法が定める基準の4385倍に当たる濃度の放射性ヨウ素が検出された。

 高濃度の放射能で被曝を強要されているのは、原発労働者である。厚生労働省は、福島原発で作業する人の放射線被曝の許容量を通常の2・5倍の250ミリ シーベルトに引き上げた。現場では、復旧作業中の下請け労働者が放射線被曝による熱傷で病院にかつぎ込まれた。多くの現場労働者の被曝なしに原発は止めら れないし、動かせない。人間と原発は共存できない。

原発推進グローバル資本

 原発建設を推進してきたグローバル資本・政府の責任が今こそ問われるべきである。安倍・麻生元首相ら、むき出しの戦争勢力は日本の核武装推進を公言して きた。いつでも核爆弾を製造する能力を保つために、原発で生み出されるプルトニウムが不可欠と考えている。

 菅政権は「新成長戦略」の一環として原子力発電輸出ビジネスを位置づけていた。昨年10月、原発輸出のため官民合同で「国際原子力開発」を設立(東電・ 日立・三菱重工・東芝などが出資)。ベトナムでの原発受注が実現した。

 原発は1基の受注額が約4千億円に上る。東芝は2015年までに39基、三菱重工は2025年までに30基の受注を見込んでいた。日立は2030年まで に30基の受注を目指していた(3/16ロイター)。このぼろ儲けを失うまいと、米倉日本経団連会長や桜井経済同友会代表幹事は、事故直後にもかかわら ず、原発推進の発言をおこなった。

 政府・東電・御用学者は、内部被曝や長期的な低線量被曝の深刻さを隠している。この隠蔽工作はグローバル資本の利益を確保するためのものだ。東電は東大 への5億円など大学や研究機関に多額の寄付をつぎ込み、御用学者を大量に生み出してきた。震災・原発事故以来、連日のCMで「がんばろう日本」とナショナ リズムをあおり、批判の声を上げにくいムードを国民に刷り込んでいるのが、ACジャパン(旧公共広告機構)。その理事会は、東電や関電の経営者を含めマス メディア・大企業の代表者で占められている。グローバル資本が主導して、官産学一体の情報統制が敷かれている。

復興財源は資本が出せ

 菅政権は「復興」を口実にして、低所得者の労働者ほど負担の重い消費税増税に踏み出そうとしている。しかし、危険な原発労働に象徴される非正規労働者の 犠牲の上に利潤をため込んできたのは、グローバル資本である。復興財源には、法人税増税や特別課税を通じて、グローバル資本の抱える200兆円以上の内部 留保を吐き出させなければならない。軍事費や米軍思いやり予算はすべて復興財源に回させなければならない。

 4月11・15日、東京・全国で東電はじめ電力企業・原発メーカー・政府・自治体などへ抗議要請がおこなわれる。放射能汚染の責任を追及し、原発即時廃 止・民主的復興をかちとろう。

 (4月3日)
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