2011年05月20日発行 1182号

【ノーモア尼崎事故、生命と安全を守る集会 ウソだらけの裁判証言を暴く】

 「ノーモア尼崎事故、生命と安全を守る集会」が事故から6年たった4月24日、大阪市内で 開催された。

 集会は、昨年から神戸地裁で行なわれている山崎(元JR西日本社長)裁判(業務上過失致死事件)でのJRの不当な姿勢の批判が柱となった。「JRに安全 と人権を!株主・市民の会」の桐生隆文さんが報告した。

 裁判の主な争点は、(1)急なカーブにATS(自動列車停止装置)を整備するという共通認識があったか(2)現場カーブの付け替えとダイヤ改正により事 故の危険性が認識できたか、などである。この争点にそって証人尋問がされ、すでに17回の公判が開催された。JR西日本の対応は、福島原発事故での東京電 力の対応(隠す、過小評価する、嘘をつく)とうり二つであることが、証言を通じて明らかになっている。

 (1)については、JR西はR450(半径450b)未満の曲線にATSを整備してきたことがJRのマニュアルや会議資料で明らかだが、JR側の開発担 当証人は「Rとかは知らない。興味もないから勉強もしなかった」と到底信じられない嘘の証言を公判の場で平然と行なった。

 (2)については、事故現場のようにR600からR304へ半径を半分にする工事はまれであること、またダイヤ改正で時速120キロの列車を走らせ直前 で時速70キロまで減速しなければならなかったことなど、危険なカーブであることは誰にでもわかることだ。しかし、JR側証人は「曲線でのATS設置は、 乗客の転倒防止であり、脱線を防ぐためでない」「乗務員が速度超過するということは考えていない」などと証言した。嘘をついてまでも「現場カーブは脱線を 起こす可能性があるカーブ」であったことを認めないJRの姿勢が批判された。

傍聴席は怒りと落胆の声

 桐生さんはこの公判をほとんど傍聴し、報告にあたって遺族の協力により検事調書や公判記録を参考にした。検事調書は「被害者参加制度」で被害者に閲覧が 許可されたことから、遺族が神戸地方検察庁に出向き書き写しまとめてきた。通った回数は100回以上になる。証拠の一つたりとも闇に葬られてはいけないと の思いだったという。

 当日は法事で参加できなかった遺族の裁判にかける思いが紹介された。「被害者が望む『事故原因究明』の裁判というより、明らかな嘘で真実を偽り、会社に ゴマをする証人たち。…愛する家族を奪われ、傷ついた遺族・負傷者の目の前でさらに苦しみを与えないで! 事故を検証し、本気で安全優先の企業になろうと するならば、これまでのような法廷での態度は許されません」

 集会では、JR労働者からの報告もあり、特別報告として日本航空被解雇者の原告団が支援を訴えた。
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