2011年10月21日発行 1203号
【『ポスターガール』『IVAW 明日へのあゆみ』上映】
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イラク戦争帰還米兵をテーマにした映画『ポスターガール』と『IVAW
明日へのあゆみ』の上映が10月8日、東京と大阪でスタートした。試写会で両作品を見た大学院生・中村さんから、「ぜひ観賞を」と勧める推薦文が寄せ
られた。
『ポスターガール』は女性イラク帰還兵ロビン・マレーの戦後に迫る作品(2011年度アカデミー賞短編ドキュメンタリー部門ノミネート)。ロビンは軍人
の家庭に育ち、軍人に憧れ、イラクの民主化に協力しようと志願し、米陸軍広報雑誌『ARMY』の表紙を飾るが、実際の戦場では市民を銃殺するおそれのある
任務を命じられ、米兵はイラクの人たちを人間とすら思っておらず「ハジ」という蔑称で呼んでいたことなどが語られる。戦場ではこのような体験をしても平静
を保っていたロビンは、帰って来てから自分が「モンスター」になってしまったのではと苦しむ。
ロビンは時に泣き叫び、小さなことでも苛立つ。しかし、精神科医が殺人や自殺の経験を尋ねる時も「君の誕生日はいつだい?」みたいなノリで聞いてくるの
と果たしてどちらが「正常」な反応だろうか。
映画の後半は、ロビンの参加する"combat paper
program"が紹介され、人間性を回復していく過程に焦点が当てられる。これは、帰還兵がかつて着ていた軍服を切り刻んで作った紙を使って絵画や本な
どのアート作品を作る、サバイバーズ・アートの一種である。過去の怒りと哀しみの象徴である軍服や教練本を切り刻んで別のものに作り変えていき、作品を展
示することで、戦場に行かなかった人々との交流も生まれる。また、画一的な軍服を素材として、個人個人で違う作品が創造されていくこと自体にも大きな意味
があるだろう。
『IVAW 明日へのあゆみ』は、反戦イラク帰還兵の会(Iraq Veterans Against the
War)の活動を追うシリーズ『立ち上がるIVAW』の6作目。舞台は2011年2月に全米労働運動の最前線となったウィスコンシン州マディソン。共和党
のウォーカー州知事は、州の財政赤字が膨れ上がったことを理由に州職員の年金・医療保険料の負担引き上げと福利厚生に関する団体交渉権の剥奪を柱とする法
案を提出し、労組と衝突。IVAWは戦争をやめてその経費を国内経済に回すことを求め、ウィスコンシン州兵には「我々も公務員である、敵は労働者ではな
い」と知事からの出動要請に応じないよう求める。
かつて「冬の兵士」公聴会で米軍の戦争犯罪を暴露したときは「裏切り者」と呼ばれすらした彼らに対して、このフィルムの中では"Thank
you"という声があちこちから聞こえ、労働者との連帯の様子が映されている。映画の中で3人の女性が歌っていた"Dears, Where does
the money go? -Missiles, weapons, and the
war.(お金はどこに行ったの―ミサイルと武器と戦争に)"というフレーズが耳に残る。
上映スケジュール
10月29日(土)14:00 ドーンセンター(天満橋)
10月30日(日)14:30 ムーブ町屋
11月6日(日)14:30 ポレポレ坐(東中野)
11月12日(土)13:30 一橋大学東キャンパス1号館1305教室
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