2011年11月11日発行 1206号

【福島の女たちが経産省前で座り込み 次は11・11たそがれの経産省キャンドル包囲アクションだ】

 「原発はもうまっぴら! 今すぐ止めたい!」。この思いを伝えようと福島の女性たち100 人が10月27日から3日間、経済産業省前で座り込みを決行した。命を育む女たちの「すべての原発を直ちに廃炉に」「子どもたちを直ちに避難させて」の願 いは広く共感を呼び、延べ2300人が集まる大行動となった。



 初日朝9時半。晴れわたった秋空の下、「怒福島隊」「恕福島隊」(恕は思いやりの意)ののぼり旗が経産省前に林立する。受付は、福島から、全国からかけ つけた女性たちでごった返している。

 「原発いらない福島の女たち」世話人の佐藤幸子さんがマイクを握った。「物言わぬ、といわれてきた東北の女たちがついに立ち上がり、座り込む。子どもた ちは事故以来7か月間、炎の中に置きざりにされてきた。命をつなぐ母性はもう許さない。福島から発信する思いは全国へ、世界へと広がり、本当の幸せへの第 一歩になる」

 続いてハイロアクション福島原発40年の武藤類子さん(三春町)が「女たちの限りなく深い愛、聡明な思考、非暴力の力強さが新しい世界を作る」と行動開 始を宣言。シンボルカラーの黄色の列が庁舎を取り囲んだ。


目を伏せる経産省職員

 服部良一衆院議員が支援にかけつけ、「日本のエネルギー政策を変えるのは今をおいてない。経産省はいい加減なストレステストで再稼働させようとしてい る。市民の皆さんと連帯して脱原発を不動の流れにしていく」と表明。

 昼休み、庁舎からいっせいに職員が出てきた。女性たちは「福島の子どもたちを助けて」と語りかけ、『ふるさと』を「山は青きふくしま/水は清きふくし ま」と言い換えてやわらかく歌う。職員の群れは目を伏せて足を急がせるばかりだ。

 並行して行なわれた経産省交渉について西郷村の地脇美和さんが報告。「(1)全原発の即時廃炉(2)再稼働断念(3)国の責任で子どもたちの避難・疎開 を(4)地域の自立を阻害する電源3法廃止、の4項目を申し入れたが、前向きな回答はほとんどなかった」。交渉に参加した福島市の佐々木慶子さんは「『事 故は絶対起こさない』『原発止めると東京は真っ暗』−全部ウソでしたね、と追及すると、反応できませんでした。事故があっても原発を動かしたいなんて、よ ほどオイシイ思いをしている人でしょう」。

「モルモットじゃない」

 「福島県民はモルモットじゃない」の言葉を掲げて座り続ける高橋恭子さん(福島市)。「県民に健康調査票が渡されました。3月11日以降の行動を調査す るというけれど、地震と原発事故の中でいつ何をしていたかなんて思い出せますか。原爆の時に研究用に使われたのと同じ。『にこにこしていれば大丈夫』なん て言う健康アドバイザーのもとではそういうことにしかならない。避難させて、というのがお母さんたちの願い。私たちの年代がそれを支えなくては。とにかく 元の暮らしに戻してほしい。そんなことを望まなくてはならない…切ないです」

 「事故が起きて初めて、福島県に10基もあることを知った」と話すのは石塚キヨ子さん(郡山市)。「こんな事故があったのにそれでも作ろうという人がい るなんて腹立たしく、悔しい。国も県も事故を小さく見せようとするばかり。全然信用できません。早く止めて、世界中で」

「女は世界を変える」

 最終日は銀座デモに続いて、「毛糸の指編み」ロープで経産省を取り囲み、日比谷公園のクロージング集会へ。やりきった充実感で表情は明るい。20代の女 性は「原発を止めるまで居座り、抗議を続ける。11月11日には経産省を人間の鎖で包囲しましょう」と元気な声で呼びかける。ハイロアクション福島原発 40年の黒田節子さん(郡山市)は「福島の女たちは怒ってるんだぞ、ということを形にして訴えようと、初めは3、4人が集まって話し合ってきたが、今はそ れがすべて実現しました。支援がどんどん目に見えるようになり、助けになった。本当にありがとう。いっぱい踊って歌って叫んで、気が晴れました」。どっと 笑いが起こった。武藤類子さんは「最初はドキドキものだったが、女たちの力でここまでやれました」とお礼のあいさつ。武藤さんの音頭で「女は原発いらない ぞ」「女は世界を変えるぞ」「男も一緒に変えるぞ」と唱和した。

 最後に、翌30日からの全国の女たちの座り込みに「毛糸の指編み」をバトンタッチ。『ひらいたひらいた』を「つながった つながった 女たちがつながっ た つながったらおどろう いつの間にか 輪になった」と歌いながら、リレーされた。


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