2011年12月30日発行 1213号

【「原発を問う民衆法廷」開廷へ 実行委員会が発足 3・11前に第1回法廷】

 歴代政府の原発推進政策から今回の事故、今後の賠償に至る原発犯罪の構造をトータルに明ら かにし、憲法・国際法に基づいて裁こうという「原発を問う民衆法廷」運動が正式にキックオフした。

憲法・国際法で裁く

 12月17日の第1回実行委員会で、法廷規程や判事団候補、事務局構成などが提案・確認された。3月11日より前に、東京で第1回法廷を開廷する。

 原発民衆法廷規程は、前文で「問われているのは、利潤と経済効率優先の社会を維持するのか、より人間らしい暮らしを実現するのかである」とし、法廷の権 限を「日本における原発政策の導入・展開・今日に至るすべての経過を憲法、各種法律、確立された国際法に基づいて検証し、日本政府と国際社会に勧告的意見 を提出する」と定めた。

 判事団候補には鵜飼哲・一橋大学教授(フランス文学・思想研究)、田中利幸・広島市立大学広島平和研究所教授(戦争犯罪・戦争史研究)、前田朗・東京造 形大学教授(戦争犯罪論・刑事人権論)。ジェンダーバランスの上から、女性の判事も加わる予定だ。

申立てを受け付け

 実行委員会の議論では、前日16日に福島地裁郡山支部が、子どもたちの集団疎開を求めた仮処分申立を却下する不当な決定を行なったことが報告され、政 府・電力会社に追随する司法の姿勢はフクシマ後も変わらず、民衆法廷運動の意義は高まっていることを確認し合った。代理人団(刑事裁判の検事団)を率いる 予定の田部知江子弁護士は「弁護士登録したばかりの新人弁護士の間に『原発のことがライフワークになる』との気運がある。民衆法廷の代理人に加わるよう働 きかけたい」。また、「憲法13条の幸福追求権の活用も可能ではないか」「現行法絶対ではなく、原発犯罪を裁く新たな法律の制定を提言することも必要」と いった意見も出された。

 実行委員会は開廷に向け、広く「原発政策に関する申立て」を受け付けていく。申立ては、日本に住む人なら誰でも行なうことができる。
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