2012年02月03日発行 1217号

【「原発を問う民衆法廷」 2月25日都内で第1回法廷】

 2月25日都内で、第1回「原発を問う民衆法廷」が開催される。福島原発事故とその後の政府・東電の対応は犯罪にほかならない。この国の司法が犯罪者を 裁けないなら、民衆の力で断罪・告発しようという試みだ。

 民衆法廷の申立人には現在、4人の福島の被害者が名乗りを上げている。その一人、福島市在住の佐々木慶子さんは「原発いらない福島の女たち」の一員とし て経済産業省前座り込み行動などに取り組んできた。また、農業を営む田村市在住のWさんは「原発が人の心を破壊し、村を荒廃させた。責任を取らせないと、 同じことを繰り返す」と立ち上がった。

被害者が申立人に

 申立人の訴えをサポートする代理人団は、日本弁護士連合会で子どもの人権と少年法に関する特別委員会幹事を務める田部知江子弁護士が率いる。田部さんは 原爆症認定集団訴訟を担当して勝訴させ、劣化ウラン廃絶運動にも参加してきた。

 1月18日に開かれた民衆法廷実行委員会では、意見陳述を予定している申立人の一人、村田弘さんがあいさつした。
 村田さんは福島第1原発から北へ10数キロの南相馬市小高区で被災した。3月12日の爆発後、市内の30キロ圏内の中学校体育館へ。14日の爆発の後、 栃木県に避難し、19日に川崎市、3月末には現在住む横浜の公営住宅へと転々とした。「一時帰宅で2度帰ったが、誰もおらず『死の町』の様相だった。畑も 田んぼは草ぼうぼう。山のほうも汚染がひどい。自然が自然でなくなった。除染をやろうとしてもきりがない。避難により、入院中の人たちがたくさん亡くなっ ている。津波に遭ったところでは遺体の捜索まで1か月間放置された。表に出ていない事実がたくさんある。放っておいたらいけない、告発せねばと思った。で ないと、亡くなった人、放射能におびえて生活している人に申し訳ない」

避難の権利を明確に

 同時期に、世界市民法廷も開かれる。集団疎開訴訟の福島地裁郡山支部不当判決に対する控訴審をバックアップし、避難の権利を明確にすることが目的だ。主 催者同士、相互協力して相乗効果を上げようと話し合われている。マサチューセッツ工科大学のノーム・チョムスキー教授からは「日本のために、私たちのため に、失敗してはならないテストです」との連帯のメッセージが寄せられた。

 これらの法廷は、政府が福島原発事故の「収束」を演出し「除染」による帰郷をベースに福島の切り捨てと停止中の原発の再稼働を狙う中、世界の世論にも働 きかけ、政府・東電の責任をあいまいにさせない意義ある企画となる。

 第1回法廷に続く第2回判決公判は福島現地で開廷する予定だ。


ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS