2012年02月10日発行 1218号
【電気料金値上げと原発再稼働を要求 メガバンクは「99%」の敵だ】
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原子力安全・保安院の大飯原発3、4号機再稼働ゴーサイン、東京電力の電気料金値上げと腹
立たしい動きが続いている。その背後には、原発利権に群がる三井住友銀行はじめメガバンクなどグローバル金融資本の暗躍があった。この連中こそ、フクシマ
後もなお命よりも儲けを最優先し、東電・政府と結託して賠償を値切り、再稼働を急ぐ元凶だ。
結託する銀行・東電・政府
東京電力と政府の原子力損害賠償支援機構が、原子力発電所の再稼働と家庭部門の電気料金値上げで、東電の2014年3月期の最終的な損益を黒字化させる
試算をまとめたことが1月26日、明らかになった。この試算は、今年10月にも電気料金を10%程度引き上げたうえ、定期検査で停止中の柏崎刈羽原発(新
潟県)を13年度から再稼働することを前提にしている(1/26東京新聞)。
東電は今年4月から大口契約法人向け電気料金を平均で17%程度引き上げることを決め、家庭向けについても10%程度の値上げをちらつかせている。
この背後には、金融資本の動きがある。
三井住友銀行など主要金融機関は、東電に対し、昨年の事故直後の緊急融資(2兆円規模)に続き1兆円規模の追加融資を4月にも実施する方向で調整に入っ
ている。その条件としているのが電気料金の値上げと原発の再稼働だ(1/10日経)。
野田政権が大飯原発のストレステスト結果にゴーサインを出すなど再稼働を急ぐのは、こうした金融機関の要請を受けたものだ。
東京電力の大株主
順位 |
株主 |
所
有株式数 |
持
ち株比率 |
(単
位:千株) |
(%) |
1 |
第
一生命 |
55,001 |
3.44 |
2 |
日
本生命 |
52,800 |
3.30 |
3 |
東
京都 |
42,676 |
2.67 |
4 |
三
井住友銀行 |
35,927 |
2.25 |
5 |
東
京電力従業員持株会 |
30,077 |
1.88 |
6 |
日
本トラスティサービス信託銀行 |
29,479 |
1.84 |
7 |
日
本マスタートラスト信託銀行 |
28,341 |
1.77 |
8 |
み
ずほコーポレート銀行 |
23,791 |
1.49 |
小計 |
298,092 |
18.63 |
発行済み株式数 |
1,600,034 |
100.00 |
(2011年9月30日現在)
原賠法も三井住友が提案
この一連の動きは、金融資本が原発利権に群がる有力な一員であることを改めて示した。
福島第1原発事故による放射能被害への賠償問題でも、東電のメインバンク・三井住友銀行が暗躍していた。
賠償金が資産を上回れば、企業は倒産するしかない。そうなれば、株は紙屑となり、貸した金は返ってこなくなる。現に日本航空の場合も、100%減資とい
う形で株主は責任を負わされ、金融機関も債権放棄を余儀なくされた。
三井住友銀行をはじめとする金融機関は、東電に対して昨年3月末の緊急融資を含めて約4兆円の債権を保有している。また東電の大株主は、@第一生命A日
本生命C三井住友銀行E日本トラスティ・サービス信託銀行F日本マスタートラスト信託銀行Gみずほコーポレート銀行と、銀行と生命保険会社が上位を占めて
いる。
「100%減資」や「債権放棄」を阻止したい三井住友銀行は、原発賠償機構をつくって賠償債務を東電から切り離す仕組みを経産省に持ち込んだ。この提案
をもとにつくられた政府の「原子力損害賠償支援機構法」は、被災者救済よりも東電救済を優先させ、最終的に電気料金値上げという形で国民(消費者)に尻拭
いさせるものだ。もちろん銀行は「債権放棄」を迫られず損をしない案になっている。
日本の金融資本が自らの利益を最優先し民衆に敵対する存在であることは、米国ウォール街となんら変わりはない。
金融機関別の東電向け融資残高
(2011年6月末時点。単位:億円)
3大メガ銀行 |
20,383 |
|
三
井住友 |
9,345 |
|
み
ずほコーポ |
6,768 |
|
三
菱東京UFJ |
4,270 |
日本政策投資銀行 |
4,545 |
信託銀行 |
6,467 |
|
三
菱UFJ信託 |
2,235 |
|
中
央三井信託 |
1,856 |
|
住
友信託 |
1,757 |
|
み
ずほ信託 |
619 |
生命保険 |
3,832 |
|
日
本生命 |
1,545 |
|
第
一生命 |
1,277 |
|
明
治安田生命 |
554 |
|
住
友生命 |
329 |
|
三
井生命 |
68 |
|
富
国生命 |
59 |
信金中金 |
345 |
その他 |
3,659 |
借入金合計 |
39,231 |
(日経新聞1月11日付より)
利益生む「総括原価方式」
グローバル金融資本が東電を救済し支え続けるのは、それが確実な儲けを生み出す金の成る木≠セからだ。そのことを保証しているのが、「総括原価方式」
いう電気料金の仕組みだ。
電気料金は「適正なコストプラス適正な利益」を基に決めることになっている。コストには人件費や燃料費はもちろん、「原発は安全です」とする宣伝広告費
や接待費まで含まれている。
また、利益は「施設の資産の金額に一定の率(現在は3%)を掛けたもの」とされている。つまり、同じ電力量を発電するのでも、建設費が高い発電所を建て
た方が資産が多くなり、利益が増えるような仕組みになっている。電力会社が他の発電方式よりも費用のかかる原発を推進する動機の一つがこの仕組みだ。
しかも使用済み核燃料という「ゴミ」までが、核燃料サイクルの原料だからという理屈で資産に算入できる。原発を動かせば動かすほど、資産が増え、利益も
増えるようになっているのだ。
どれだけズサンな支出をしようが「適正なコスト」と認められ、資産を増やせば増やすほど利益が増える会社など、電力会社以外にはない。
こんなデタラメを温存したまま、東電を黒字化させるために原発を再稼働し、電気料金を値上げするなど、絶対に認めるわけにはいかない。
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