2014年01月04日・11日発行 1263号

【声明 キヤノン争議が勝利解決 非正規雇用のない世界を】

キヤノン争議の正社員雇用を含む勝利解決を全労働者のものとし、「首切り自由」を許さず、非正規雇用のない世界を共につ くろう


 キヤノンを相手に偽装請負を告発し、報復解雇の撤回・正社員化を求め闘ってきたキヤノン非正規労働者組合が、キヤノン関連会社への2名の正社員雇用をふ くむ内容で勝利和解した(12月20日)。この勝利解決は、失業・不安定雇用と闘う非正規労働者をはじめすべての労働者を励ますものである。

 第1の意義は、偽装請負で働かされてきた非正規労働者が解雇を撤回させ、正社員として大企業キヤノングループの中に戻ったことだ。2009年のパナソ ニックPDP事件最高裁判決以降、多くの非正規争議が”労働者派遣法違反があっても派遣先企業の正社員の地位はない”という不当判決に涙をのんできた。違 法な働かせ方をされても、正社員の地位を認められず、わずかばかりの慰謝料かそれすら否定する非道な判決が続いている。非正規と正規の間には大きな壁があ り、あたかも身分制のようだ。今回の勝利はこの厚い壁に風穴を開けた。

 第2の意義は、派遣法改悪、有期労働法制により人間をモノ扱いする非正規雇用の拡大を進めるグローバル資本の新自由主義路線に一矢むくいたことだ。改悪 派遣法は「正社員みなし規定」を3年間実施しないとし、有期労働法制は5年の有期雇用期間中に”クーリングオフ”を入れれば無制限に有期労働を拡大できる としたが、今回の勝利は期間の定めのない正社員雇用を実現した。キヤノン御手洗会長は、偽装請負が告発された2006年当時の経団連会長であり「法律(派 遣法)が悪い」と言い放って非を認めず、間接雇用の合法化と非正規の拡大のため法改悪の音頭をとった。この張本人のひざもとで、非正規労働拡大を許さず正 社員雇用をもぎとった。

 第3の意義は、キヤノン社内にキヤノン非正規労働者組合という闘う労働組合の旗が残ったことだ。「今後予想されるキヤノングループのリストラやすでに寄 せられている社員の方々からの相談の受け皿として、労働者の権利を守る活動を強化していく」と同組合は決意を明らかにしている。会社の組合排除・不当労働 行為の意図を打ち破った。

 勝利の要因は、なにより解雇者5名の不屈の奮闘であり、法廷闘争の前進と多くの支援の力だ。キヤノングループを攻めあげる総行動が上部団体の枠を超えて 全勢力の支援で取り組まれた。株主総会で御手洗会長を直接追及し、銀座のショールーム前での行動など敵の嫌がる闘いをつくった。キヤノン広報部が「長く係 争が続くと双方に無益と考えて和解した」と表明しているように、争議は無益=得にならないと判断させるところまで会社を追い込んだ。社会的に闘うならば、 グローバル資本に勝つことができることを私たちに教えている。

 現在、正規労働者も含め数十万の解雇・失業攻撃の嵐が吹き荒れ、ワーキングプアが拡大し、これに拍車をかけるように安倍新政権が登場する。しかし、決し て悲観することはない。いたるところに怒りが渦巻いている。キヤノン争議勝利に学び、私たちは怒りと要求を束ね支援と連帯を広げ闘おう。「首切り自由」を 許さず、非正規雇用のない世界を共につくろう。

   2012年12月23日
 民主主義的社会主義運動
 (MDS)中央委員会
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