2014年06月20日発行 1334号

【学ぶことの意味を考える 横浜市鶴見区のフリースペースたんぽぽが講演会】

 学校に行かない子どもを受け入れてきた横浜市鶴見区のフリースペースたんぽぽ。6年目の今年5月、NPO法人「子どもと共に歩むフリースペースたんぽぽ」としての一歩を踏み出した。学びの意味を考えようと講演会が催された。

 5月25日、たんぽぽに近い会場には子どもと保護者合わせて30人ほどが集まった。

 代表の青島美千代さんは「当初、学校でつらい思いをした子どもたちは学ぶことに強い抵抗感を示していました。でも通ううちに元気を取り戻し、勉強会で楽しく話し合うなど、学ぼうという意欲が生まれてきています。一方で、非正規労働、学歴社会の中で親たちの不安はなくなりません。子どもたちと一緒に学ぶことの意味を考えたいと思います」と趣旨を説明した。

 「子どもが巣立つということ」と題して講演したのは発達心理学者で奈良女子大名誉教授の浜田寿美男さん。

 子どもをとりまく環境がこの50年大きく変わっている、と浜田さんは言う。「子どもは家族の一員としてその力に応じて家で働き、幼い弟妹を背中に負って遊ぶなど共同体の一翼を担っていた。今はそういう場は失われた」

 「子どもたちが『何のために勉強するの』と疑問を持つと『将来のために』。しかし、実は学校制度のはしごを上っていく手段でしかない。脅迫的な学力テストが繰り返され、みんなが同じ方へ一生懸命走ることに疑問を感じる子は取り残される。しかし、子どもたちは将来のためではなく、今の力で現実に向かい、学んだことを試しながら生きていく」

活動の幅を広げる

 指導員から「聞いてみたかったら来ていいよ」と声をかけられていた子どもたちは全員が参加し、熱心に耳を傾けた。

 Aさんは「何のために勉強するのか、その答えがわかったような気がする。自分の思っていたことは間違っていなかった」。保育士を目指しているSくんは子どもの成長を助ける仕事を意識するようになった。「今後の勉強に生かせると思う」。小さい子どもたちも「昔と今でそんなに違うの」。

 青島さんは「交流会で親たちから『子どもたちにやらせることが大事かも』などの感想が出ました。自分たちで企画して行事を進めることが今年の目標。先生の話でそのことがすっきり理解してもらえたのでは」と喜ぶ。

 たんぽぽは、新たな学習室を借りるなど活動の幅を広げるため、月1回の地域バザーの充実や寄付金集めの呼びかけを強めている。

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