2015年03月20日発行 1371号

【1371号主張 3・11フクシマから4年 市民が被曝と原発なくす】

被曝強要する安倍政権

 3月11日で福島原発事故から4年。現状はどうか。事故は全く収束せず放射性物質の流出が続いている。東京電力は1年以上も高濃度汚染水の流出を公表しなかった。

 福島県では、子どもの甲状腺がんが117人、手術済み87人に達している(2/12発表、県民健康調査)。異常多発は明らかだ。核戦争防止国際医師会議(IPPNW)は3月3日、「子どもの甲状腺検査が福島県に限定されている」と懸念を表明。事故の影響の全体像把握には隣県での検査も必要と示唆した(3/4東京新聞)。原発事故関連死の認定は増え続け、3月時点で1232人となった(3/10東京新聞)。

 ところが、安倍政権は「汚染水は完全にブロック。コントロールされている」(2/25菅官房長官)となおも開き直る。避難の権利を認めず、帰還を強要し、営業損害賠償を打ち切る方針も示した。反原発運動の象徴である経産省前テントに対し立ち退きと2800万円の支払いを命じる不当判決を出した。みな原発再稼働の道を開くためだ。鹿児島県川内(せんだい)原発1・2号機、福井県高浜原発3・4号機の再稼働が狙われている。原子力規制委員会は両原発が「新規制基準に適合」とする「審査書」を決定した。

 人びとの命と生活を犠牲にし、カネ儲けのために原発の再稼働や輸出を強行する。同時に、原発推進へのこの異常な執着の背後に、核武装能力は決して手放さないという危険な戦争政策がある。

再稼働阻む市民の運動

 毎週金曜の国会周辺行動をはじめ各地で続く反原発運動が、安倍の原発推進の前に立ちはだかっている。

 被曝から健康を守る放射能無料健診を求める署名は12万筆を超えた。福島県の甲状腺検査評価部会は、甲状腺がんと診断され通常診療に移行した場合の医療費や手術費を公費で負担すべきとの意見で一致した。県はすでに、医療費は原発事故がなければ発生しなかったとして、国に財政措置を求めざるをえなくなっている(2/3福島民報)。

 鹿児島県では1月に3千人の川内原発再稼働反対集会がもたれ、福井県の高浜原発再稼働反対署名は20万筆を超えた。滋賀県議会の総務企業常任委員会は3月6日、市民の請願を受け「30キロメートル圏内自治体の同意が得られない中では、高浜原発3・4号機の再稼働をしないよう求める意見書」を賛成多数で可決した。3・11を前後して全国で反原発・再稼働反対の行動が大きく広がっている。

 こうした運動の力が、一昨年9月以来1年半にわたる稼働原発ゼロの状態を作り出した。原発などなくても電気は足りる。直近のどの世論調査でも原発利用反対、再稼働反対は、賛成をはるかに上回る。市民の運動は世論を支え、社会を変えつつある。

反原発は地方選の争点

 2015年春の地方選では、憲法改悪・戦争法制反対とともに、反原発・再稼働反対が大きな争点となる。放射能無料健診の実現や被曝しない権利の確立も重要だ。放射能健診百万人署名運動を広げ、平和と民主主義を求める運動と一体で地方選に勝利しよう。原発・戦争・貧困を進める安倍政権の一刻も早い打倒へとつなげよう。

  (3月10日)
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