2016年04月01日発行 1422号

【山城博治さん報告(要旨) 沖縄連帯、2000万署名成功へ集い 未来はわれわれのもの 辺野古勝利が閉塞感を打ち破る 安倍打倒の闘いの前進へ】

 辺野古新基地建設反対の闘いをキャンプ・シュワブゲート前でリードする沖縄平和運動センター議長山城博治さんが、3月20日大阪市内で開催された「沖縄連帯!『戦争法廃止を求める2000万人署名』を成功させる集い」(主催:ZENKO平和と民主主義をめざす全国交歓会)で運動の現状と展望を語った。その要旨を掲載する。(見出し・まとめは編集部、4面に関連記事)

したたかに闘う

 みなさんによく健康のことを聞かれる。月曜から金曜までは現地にいるが、週末は全国を飛び回っている。現地の機動隊が「山城が病気だったというのはウソではないか」と言うほど、元気だ。

 政府が工事中止に追い込まれたというのに、現場の機動隊はますます凶暴化している。木曜、金曜と2人が拘束された。これまでの拘束者は24人になったが、へこたれず、みな笑い飛ばすようになった。たいていは一晩で解放するが、ただ一人、北海道から来てくれた77歳の高齢者を拘束、起訴した。機動隊中隊長の足を蹴ったという容疑だが、何百人ももみ合っている状態で「蹴った」かどうかわかるわけがない。

 私はその中隊長に言ってやった。「そっちには証拠写真の1枚もないだろうが、こちらにはあなたのやった暴行を撮ったビデオ、写真が腐るほどある。裁判所に提出し、どちらが暴力をふるっているか明らかにしよう。逃げるなよ」。暴力の中心人物だった中隊長が次の日から黙ってしまった。

 機動隊が街宣車の排ガスを座り込みの場に向けてくる。エンジンを止めろと抗議しても止めない。「排ガス検知器を借りてきたから、測定するので止めるな」と言うとすぐ止めた。機動隊に排除されても言い合う必要はない。また元に戻ればいい。しなやかに、したたかに闘うことだ。米兵による女性暴行事件(3月13日)も起きている。抗議集会をあす21日、ゲート前で千人規模で行う。

 政府が裁判所の和解を受け入れた。これは、闘いの成果だ。それとともに深い罠が待っている感じもする。和解条項に「以後、司法判断に従うこと」とある。今回最高裁は政府に勝たせるだろう。その後、工事の変更を県が許可しなければ同じように是正指示をするだろうが、県が提訴しようとしても、先の最高裁判決の趣旨、和解条項に従えとして知事の訴えを認めないということが起きないか。現場では心配している。

 だが、翁長(おなが)知事も言うように、今回の和解は3つの裁判に関することのみ。和解案受け入れで、すべての裁判ができなくなるのでは、おかしい。「自分の持っている10の武器を使って闘う」と言う知事を支え、県民挙げて反撃していく。

新基地阻止の展望

 基地建設工事を進められない事情は他にもある。

 湾岸道路の建設ルートの埋蔵遺跡調査に1〜2年かかる。大浦湾はかつて交易の中心地。多くの遺跡が陸上にも海底にもある。この調査をしなければ、文化財保護法違反になる。

 湾を埋め立てるには、海に汚濁防止膜を張る必要がある。総延長3千メートル。その膜を海底に固定するのに1つ15トンのコンクリートブロックを使用する申請だった。ところが、現場に持ち込まれたのは最大57トン計250個。申請と違うので、県は手続きのやり直し指示を出している。15トンにすれば、千個近いコンクリートブロックが沈められることになり、サンゴは間違いなく打撃を受ける。

 名護市民の水源地である辺野古のダムがある。管理は名護市長。その隣の山で土砂を採取しダムの上に橋をかけて運搬する計画だが、名護市長は許可しない。埋立予定地に流れ込んでいる美謝(みじゃ)川を直角に付け替えることも、仲井真知事の時でさえ許可が出ず宙に浮いたままだ。工事は不可能と言う技術者もいる。

 私たちは基地建設阻止へのあらゆる武器を持っている。

 まず、支援が世界に広がっていることだ。韓国の平和映画祭に招待された。ワシントン・ポスト紙からインタビューを受けた。「沖縄県民は基地に反対して何百日も座り込んでいる」と話したことが1面、2面に掲載された。フランス、ドイツでもメディアが取り上げた。国連人権理事会の特別報告者が辺野古での機動隊による市民への暴行を問題視し、3回も懸念を表明している。このまま続けば、現地調査に来るかもしれない。

 次に、県知事、名護市長が先頭に立って抵抗し、闘っている。翁長知事の魂を撃たしめる言葉に県民は奮い立っている。「辺野古が唯一」という政府に対し「70年間奪いとって、さらに代替案まで要求するとは盗人猛々(たけだけ)しい」とまで言った。知事夫人が現地に来て言うには、「万策尽きたら、夫婦で現地に座り込もうと話している」。そんなことはさせない。知事夫妻を迎えるのは勝利を祝う時だ。

 そして、何よりも全国の闘いがあることだ。沖縄に向けられた熱を感じている。

 安保法制が施行される。安倍は、参院選で憲法改悪の布石を打ちたいと狙っている。衆参同時選挙になるかもしれない。その闘いにつながるものにしたい。

みなさんも主体に

 3月19日、福岡に行って激励を受けた。福島の原発から避難しているご家族、とりわけ小さな赤ちゃんを抱えたお母さんもいっぱい来ていた。

 福島の現状を考えた時、涙が出る。福岡で避難者の生活の場を初めて訪問した時、胸が震える思いがした。政府は20_シーベルトの世界に戻って来い、戻ってこなければ避難者に援助しないと言っている。どこの世界に、放射能が舞い散るところに戻ってこいと言う国があるか。怒りを発信しなければならない。福島では「物言えば風評被害になるから黙っていろ。原発の話をするな。東電を責めるな」となっている。だが、小児甲状腺がんは150人を超え、もっと増えるだろう。そんな世界に戻ってこい、戻れば東京オリンピックに招待する、と安倍はのうのうと言っている。ふざけるな。オリンピックにかけるカネがあるなら、子どもたちを救え。避難者を支援せよ。

 これは棄民政策、福島を見殺しにするものだ。黙っていては手を貸すことになる。声を上げよう。安保法制反対、辺野古新基地建設反対。何より福島の放射能を止めろ。原発を廃炉にせよ。その思いを辺野古で強く感じる。

 辺野古の闘いは、閉塞感きわまる日本のこの社会の中で、おぞましい限りの政策と暴力をおしつける安倍内閣に勝てるかもしれない。唯一、開けられた窓、希望の窓ではないかと感じる。負けるわけにはいかない。全国の期待を担い、まず辺野古で勝ちましょう。

 心をつなぎ、仲間を信じ、勝利を信じ、その先に社会を変革する力になれるという自信を持ち、運動を進めていく。

 辺野古の闘いが勝てるところに来ているとすれば、仲間のみなさんと全力をあげて勝利する。その1点をもって、政治の大道を堂々と進もう。われわれこそが政治を変える。未来は奴らのものではない。われわれのものだ。子どもたちのためにある。そういう世界をつくっていきたい。

 これまで、水曜、木曜に大行動を配置してきた。4月から新たに、火曜行動を提起する。もし工事をはじめたら、週のうち3日間工事を止める。これが私たちの決意だ。火曜行動の主体は那覇市の島ぐるみ会議にお願いしている。

 合わせて、全国のみなさんにも主体になってもらいたい。県庁前にバスを並べる。辺野古とのピストン輸送を行う。オール沖縄の財政部も「やろう」と言ってくれた。必要なバスは手配する。全国に発信せよと言われている。全国を回って訴えている。がんばりましょう。





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