2016年04月08日発行 1423号

【議会を変える市民と変える/美術館問題「決定」覆した住民運動/大阪府枚方市議・手塚たかひろ】

 1月20日枚方(ひらかた)市議会全員協議会で、大阪維新推薦の伏見新市長は、美術館建設問題で新たな方針を示した。

 (1)1年を超えて建設着工ができていないため、現計画地での建設は困難で白紙に戻すことを寄付者に申し入れた(2)現金寄付を受け総合文化施設用地内に美術館を整備する市の提案について、寄付者が茶室設置、設計監修に関与の要望・条件で受け入れた(3)枚方市駅北側の総合文化施設(市民会館ホールなど)建設予定敷地に寄付金で美術館を建設する―との提案だ。

 美術館建設問題解決をここまで長引かせたのは、市民の意見を聞こうとしない問答無用の建設強行姿勢のためだ。「白紙撤回、見直しを」と、市民との話し合いを求めて地元を中心に多くの市民が一昨年の8月から連日建設予定地で監視活動を行なってきた。

 また、白紙撤回署名は1万5千筆を超え、市内各地で「賛否を問うシール投票」も行った。市民の粘り強い運動が工事強行を阻止し、中央公園で建設の白紙撤回を引き出したのだ。運動の成果だ。

 伏見市長は、「市民無視が問題。白紙に戻す」との選挙公約を掲げ建設推進の現職を破って当選した。

 全員協議会での「事態をここまで長引かせた要因は」との私の質問に「市議会において議決いただいた案件を座り込みなどの妨害行動でくつがえされることは、到底容認できるものではなく、あってはならない」と、公約とは正反対の驚くべき市長答弁。

 住民無視での進め方が美術館建設を見直さざるを得なくなった真摯な総括がない。住民の運動を軽視、敵視する姿勢は前市長と同じだ。市民との協働は口先だけのようだ。

 「美術館を造るのか否か。造るとしたらどこにどのような美術館を造るのか」について市民参加の検討会議をつくり、市民とともに考えていくこと。そうでなければ、新しい提案も市民の納得が得られない」と私は強く主張した。

 協議会では、建設賛成だった議員からも「美術館の理念がない。職員のやる気が感じられない」など市長提案への批判的な意見が続出した。

 3月22日現在、「方向性が定まっていない。議会で様々な意見をいただいた。寄付者と協議中」と、具体的な動きは市民にも議会にも報告がない。現状では、美術館建設そのものの白紙撤回しか道はないように思う。

 いずれにせよ、香里ヶ丘中央公園での美術館建設はありえない。住民運動が市長、議会の決定を覆した。大きな成果だ。公園のフェンスがはずされ完全に勝利するまで住民の見守り活動は続けられる。
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