2016年04月22日発行 1425号

【被曝労働者の権利求め国際シンポ/4か国の原発労働者が一堂に/原発下請け労働を禁止せよ】

 「核と被ばくをなくす世界社会フォーラム2016」の一環として3月28日、都内で「被曝労働者の権利を求める国際連帯シンポジウム」が開かれた。「被ばく労働を考えるネットワーク」の主催。

 ウクライナからチェルノブイリ原発事故処理労働者、フランスと韓国から原発下請け労働者、日本から福島原発事故の収束作業・除染作業に従事した元下請け労働者が参加し、被曝しない権利の保障を求める労働者の国際的なつながりを強めようと議論を交わした。それぞれの訴えを当日の配布資料なども参考にしながら紹介する。

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 ヴァレンティン・ヘルマンチュクさん(ウクライナ、当時放射線制御装置運転員) 政府は健康についての情報を隠し、私たちに「放射線恐怖症」つまり放射線に対し理由のないやみくもな恐怖を抱いているとの診断名をつけた。避難者は甲状腺や消化器、神経、循環器の疾患に苦しみ、腫瘍にかかる人も多い。健康問題に対する国の無責任さは悪化するばかりで、治療費は自己負担、輸入薬は入手不可能になった。

 ムィコラ・ヴォズニュークさん(同、当時原発警備隊員) 事故後、周辺の汚染レベルを調べると、線量計の針は振り切れ、プリピャチ市内は基準値の数百倍だった。私が浴びた線量は600mSv(ミリシーベルト)。しかし、ソ連当局からは事故処理作業者に「急性放射線障害」の診断を下さないよう指示が出されていた。今、国は私たちに十分な年金と適切な医療を保障しようとしていない。すべては裁判で勝ちとらなければならない。

 フィリップ・ビヤールさん(フランス) 下請け企業から毎年3万人の労働者が原発の現場に送り出されている。彼らは自らを「放射性の肉のかたまり」と呼ぶ。下請け労働者の賃金は仏電力公社正社員の3分の1。下請け化の目的の一つは、放射線被曝のプロセスと病気自体を見えなくすることにある。私たちは原発由来の疾病すべてを労災に認定せよと闘っている。下請け労働は禁止すべきだ。

 イム・ドンインさん(韓国・原発放射線管理労組) 元請けの労働者が持つ基本的な権利を協力会社(下請け)の労働者は受けられないでいる。まず放射線被曝限度が違う。管理区域での業務が下請けに任されているからだ。下請けの落札率が73%と低いため、賃金・福利厚生も低く抑えられ、格差が大きい。

 キム・ドゥチョンさん(同・公共非正規職労組) 原発下請け労働者の8割を組織している。韓国には「卵で岩を砕く」ということわざがある。私たちの組合は、間接雇用労働者の直接雇用をめざす対政府闘争を開始した。日本でも、下請け労働者への差別をはね返す闘いに立ち上がってほしい。

 池田実さん(元除染作業・福島第一原発収束作業労働者) 従事期間1年3か月の積算被曝線量は7・25mSv。厚労省が白血病の労災基準とする年5mSvを超える。しかし離職すると、罹病しても自費で受診・治療するしかない。国が前面に出て、原発労働者の労働条件改善・被曝からの保護にあたるよう望む。

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