2016年04月22日発行 1425号

【坂井美穂のじゃらんじゃらんinインドネシア 現地報告番外編 本当に津波が来たら手遅れです】

 みなさん、こんにちは。今回は、日本でもニュースになった最近の地震について少しお話ししたいと思います。

 インドネシアは日本と同じく火山・地震国です。1万7500の島々からなるこの国は、環太平洋造山帯の西部に位置します。多くの活火山(約130)が密集し、場所によってはすぐそばにたくさんの住民が暮らしています。観光地として有名なスマトラ島北部のトバ湖は、7万4千年前の巨大噴火によってできたカルデラ湖です。ジャワ島中部やバリ島近辺で起こった火山活動で、バリ島の空港が閉鎖されることもありました。

 地震も多発しています。インドネシアの島々が乗ったユーラシアプレートに、西側からインド・オーストラリアプレートが滑り込んでいる形で、ひずみが溜まりやすく地震も起こりやすいです。ティモール島にかけてのプレート境界にはスンダ海溝が形成されています。2004年のスマトラ沖大地震・津波の光景は、覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。スンダ海溝が巨大な範囲でずれたためマグニチュード9以上の巨大地震が起こり、その後のプレートへの力や火山活動に影響していると考えられています。

 2016年に入り1月中旬に1度、そして3月2日、4月5日と体感地震が続いています。特に大きかったのは3月2日夜の地震でした。日本の震度では3くらいだと思うのですが、揺れが長かったので、とても怖かった印象です。1月と4月の地震は、ドン!という大きい音や少しの揺れだけでした。

 問題は、地震や津波の情報提供がいかんせん遅く、住民がパニックになって高台へ一斉に向かうため、あちこちで渋滞になるほどです。これでは、本当に津波が来たら手遅れです。今回は何事もなく良かったのですが、ここパダンでは、津波の被害に遭うことも考えられます。

 サイレンや携帯一斉メールなどでの正確な情報提供、徹底した避難誘導など、行政のさらなる災害対策が求められます。

(筆者はアンダラス大学人文学部招聘教員)

ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS