2016年04月29日発行 1426号

【トランプと対決する帰還兵に支援を ヘイトスピーチを止めるのは今 IVAW(反戦イラク帰還兵の会)のアピール(翻訳)】

 11月米大統領選の候補決定に向けた民主・共和両党の予備選挙、党員集会が続いている。注目すべきは、大企業・富裕層支配政治の転換を訴える民主党サンダース候補の大健闘とともに、移民やムスリム(イスラム教徒)排斥、核攻撃まで公然と唱える差別主義者トランプの危険な台頭だ。

 トランプは、イラク戦争を「批判」する発言の中で、自らの屋敷に負傷したイラク帰還兵を招待していることを強調し、宣伝した。IVAW(反戦イラク帰還兵の会)は、こうした政治利用とヘイトスピーチ(憎悪煽動)を厳しく批判し、トランプの出席する演説会や党員集会で非暴力の「帰還兵vsヘイト」キャンペーンを展開している。IVAWマット・ハワード共同代表のアピールを紹介する。7月末の2016ZENKOin大阪にはこのIVAWの代表を招請する。

 2月以降、ドナルド・トランプはヘイトスピーチの推進者となり、頻繁に政治の場に持ち込んできた。私たちは緊急に立ち向かう方針を決定した。

 企業メディアは、見境なくこの大統領候補に演壇を提供した。トランプは集会で暴力を煽り、帰還兵を支援者の柱のように利用する策略を巡らせている。何としてもこの動きに反撃しなければならないと考えた。

 私たちIVAWの11人は、サウスカロライナ州マートルビーチのトランプ集会に潜入し、「トランプ氏よ、帰還兵はあなたのヘイト宣伝の道具ではない。われわれはムスリムの兄弟姉妹と連帯する」との横断幕を会場に吊り下げた。

ヘイトとの闘いに支援を

 「帰還兵vsヘイト」キャンペーンが、サウスカロライナの横断幕から始まった。この活動は、現在までに3か所でトランプの集会を混乱させた。また、ソーシャルメディアで、あらゆる世代の帰還兵に、米国で始まっているヘイトキャンペーンの正当化に利用されることを拒否するため合流しようと呼びかけた。

 IVAWは、ムスリムを仲間、運動指導者、盟友、親友として尊重している。したがって、私たちはヘイトスピーチに立ち向かい、「連帯」という私たちの活動を広く示さなければならない。

 同志たちは全国の予備選集会で民衆の側に立つ行動を効果的に展開した。ニューハンプシャー州の予備選タウンホール・ミーティングでは、IVAWメンバーが、軍需産業の政治的影響力から警察の軍事化に至る重大問題について質問を浴びせ、多くの有権者の前で候補者たちを困惑させる事態を作り出した。大統領選をはじめ今年の選挙で軍事優先主義の賛美が続いている。私たちはこれを、候補者たちと米国民の双方に、戦争とヘイトに対する帰還兵の抵抗の声を伝える好機としていく。

 私たちが“Beyond the Choir(社会活動の支援組織)”の支持を受け、帰還兵11人で「帰還兵vsヘイト」を立ち上げたとき、次にどうなるかは分からなかった。

 しかし、全米の帰還兵・支持者からの反響は圧倒的なものだった。予備選の集会を中断させた映像2本の投稿には、何百万ものアクセスがあった。トランプのヘイトスピーチへの反撃は人びとの心を打ち、全米が一人として傍観者の立場にとどまれないと理解していることは明白となった。今、行動の時だ。

戦争扇動と闘い続ける

 大統領選が展開される今年、私たちはどこで目にしようとヘイトを暴き出し、戦争で暴利をむさぼる者の言いなりになって終わりのない戦争を煽る候補者たちを暴き出す。過去、現在、未来のみなさんの支援に力を得て、帰還兵を利用する陰謀を浮き彫りにする。政治家が戦争推進企業から莫大な献金を受け取ることを許さず、候補者たちが米国内でヘイトスピーチをまき散らすのを止める。今がその時だ。

 連帯をもって

3月18日 マット・ハワード
(IVAW共同代表)

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