2016年04月29日発行 1426号

【『ガマ人間あらわる』―「月桃の花」歌舞団/全国巡回公演スタート】

 「月桃の花」歌舞団によるフクシマ・オキナワとつながるミュージカル『ガマ人間あらわる』の全国巡回公演が反響を呼んでいる。4月3日兵庫・姫路公演、9日東京・立川公演を担ったスタッフから報告が寄せられた。

姫路公演/新たな出会いとつながり生む

 原発事故から避難された方から「避難してきたことすら怖くて言い出せない」と聞いたとき、心がしめつけられ言葉を失った。しかし、これまでの公演の中で「避難してよかったんだ」「日頃、言えない私たちの声を代弁してくれた」「真実を知ってほしい」との感想をいただいた。

 その時、今まで自分たちの居住地や勤務地だけの公演で自己満足的になっていたことに気づかされた。人の心を巧みに操り、希望を奪い、生きることへのあきらめを誘う「ガマ人間」の洗脳から脱出するためには、自分自身が変わらなければと考えた。

 避難者から紹介された、知り合いもいない新しい場所で新たな出会いとつながりをつくりたい―と初めての姫路公演にチャレンジした。

 姫路の実行委員とともにストリートライブ、街頭宣伝、集会、プレ企画、メディア(新聞)への掲載、FMラジオ生出演など、あらゆる取り組みをした。昨年11月から、はじめは週に一度、最後は毎日のように姫路に通って宣伝し、当日は124人(うち避難者34人)の参加者があった。

 公演後のユース交流会では、福島から避難した「キャストをやってみたい」という高校生とともに交流。彼女は「今、戦争が差し迫っていると感じる。タイムカプセルを埋めようという企画のときに友達が『このタイムカプセルを開けるときは、兵隊に行っているかも』と言った。それで、戦争とかの動きに対して、自分も何か行動に移したい、やってみようと思った」。

 姫路公演で、若い仲間との新たな出会いとつながりが広がった。全国そして全世界にこのミュージカルを広げ、大きなつながりを作りたい。

(西日本公演担当・広田和也)


立川公演/避難者からも共感の声

 4月9日立川会場「アイム」には100名の参加者。「感動!前をむいて行かなければならないね」などの声が寄せられる。

 今回は、地元立川近隣の避難者の方も鑑賞する。避難者役を演じる出演者はとりわけ緊張した。「自分の演じることが避難者の気持ちに寄りそうか、不安でした。とても緊張しました」という。

 劇が終わって感想交流会。避難者の方から「(流した涙のまま)胸の中につかえていたもやもやを吐き出すことができました。私自身、社会に対して考えていたことがそのままの舞台でした。元気を出していこうという気持ちに」「原発も戦争も根っこは同じ。儲かるのは誰なんですか。福島県では甲状腺ガンが160人。それなのに隠している。福島県も政府も大馬鹿だ」とテーマに共感の声。また「自分のところでもやってほしい」という要請もあった。

 立川会場は、歌舞団としては初めての会場。歌舞団の演劇を初めて見る人が多かった。公演実行委員会スタッフは「今の状況と私たちのメッセージを新しい人たちに伝えるのが公演の意義」と考え、戦争法廃止2000万署名運動の方々とともに、セットでチケット販売に取り組んだ。

 地元で頑張ったスタッフが語る。「社会派≠ナない方々にも呼びかけた。公演後すぐに、お礼を言う前に多数の方からメールで感想が届き、『福島のこと忘れちゃいけないね。福島の人の感想を聞いて涙がでた』と激励の言葉が寄せられた」

 この公演がつないだ人びととの交流を続けていきたい。(立川スタッフ・立山正隆)

『ガマ人間あらわる』巡回公演日程

◆5月4日(祝)  宮崎公演
13:00開演(宮崎市民プラザ)

◆5月15日(日) 世田谷公演
 15:00開演(梅丘パークホール)

◆6月5日(日) 大阪公演
 14:00開演(港区民センター)
 詳しくは http://gkabudan.m-shonan.jp/wp/

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