2016年04月29日発行 1426号

【みる…よむ…サナテレビ(395) 2016年4月16日配信 イラク平和テレビ局in Japan 医療・教育の有料化を許さない! ―バグダッド市民の声―】

 2016年2月、サナテレビはバグダッドで、政府が医療や教育の費用を徴収すると決定したことについてインタビューを行った。

 2003年の占領以前のイラクでは、医療費や教育費はすべて無料だった。小麦や食用油などの主要な食糧も政府が無料で配給していた。しかし占領後、歴代政権はそうした社会サービスをどんどん切り捨ててきた。現在のアバディ政権は、ついに公立の病院・学校でも医療費や授業料を徴収しようとしている。

 市民生活を破壊する決定を平気で行う政治家や官僚どもに市民は怒りの声を上げる。メディア労働者は、グリーンゾーン(議会や政府の省庁が建ち並ぶバグダッド中心部)の権力者どもが石油価格の下落を口実に市民に負担を押し付けるやり口を厳しく批判する。

 3人の子どもを学校に通わせている市民は、教科書をブラックマーケットで買わざるを得ない実態を告発する。この男性が校長に「アラビア語(日本の『国語』にあたる)の教科書を支給してほしい」と要請しても、「ムタナビー通り(知識人の集まる街で古本屋なども多い)で買いなさい」と答えるだけだ。

 教育にとどまらず、まともな社会サービスは市民に提供されていない。本来それに使われるはずのお金はどこに行ったのか。

 男性は「政府当局者は何十億ディナールも盗みだした」と言う。インタビュアーのムハメド・ラーザさんが「大勢の国会議員という強盗どもが外国に行って享楽にふけっている」と水を向けると、「ナイトクラブに行ったらそういう連中に出会いますよ」と答える。

 ある学生は「政府はどんな事務所でも省庁でも必ず盗みをする」と痛烈に、しかも極めて的確にアバディ政権の本性を指摘する。腐敗した政権が市民の生活を破壊している実態を映像は鋭く告発する。

 アバディ政権は、社会サービスの有料化を始めようとしている。日本でも医療費や学費が値上げされ、市民生活はますます困窮を深めている。国際的な連帯を強め、グローバル資本の利益追求のための政策をやめさせなければならない。

(イラク平和テレビ局 in Japan代表・森文洋)



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