2016年06月03日発行 1430号

【参院比例区予定候補・福島みずほさん講演(上) /一人ひとりの民主主義で 安倍の改憲執念に打ち勝つ選挙を】

 全交(平和と民主主義をめざす全国交歓会)は5月11日、参院選比例区予定候補に推薦する社民党・福島みずほ参議院議員を囲む集いを大阪市内で開いた(前号既報)。福島議員の報告を3回に分けて掲載する(まとめは編集部)。

 原発輸出反対、脱原発、平和、男女平等、辺野古新基地、リニア新幹線、高速増殖炉もんじゅ問題など、政府交渉でお会いする方々にたくさん来ていただきました。何よりも全交さんがきたる参院選で私を推薦し、全力で闘うと決めたことに心から感謝します。

 今の政治状況を報告し、決意表明とします。

 今度の参院選の争点は何か。

 1つ目は、憲法を活かすのか、殺すのか。2つ目は、1%の富裕層のための政治継続か、99%のみんなのための政治変革か。3つ目は、脱原発か、原発推進か。3つに共通するもの―私たちは自由や民主主義がある社会に住み続けることができるのかどうか、それが問われています。

「戦争法」は譲れない

 まず、戦争法が強行され3月29日に施行されました。私が昨年4月1日、参院予算委員会で「これからたくさん戦争法案が出てくる」と発言したことに、安倍総理は「戦争法案というレッテル張りは議論を矮小化するもので、断固甘受できない」と応じました。「自国が攻められていないのに、他国の領域で武力行使をする。戦場の隣で弾薬を提供する。いわゆる一体となって戦争をするのだから、戦争法案でしょう」と論争になった。自民党の委員長は「福島議員の発言に不適切と思われる言辞があった。後刻議事録を精査し措置します」と言った。

 もう1つの例。「アベノミクスで儲かった、有効求人倍率があがったといわれるが、非正規雇用は4割を突破し、実質賃金が下がっている。年収200万円以下の人が4分の1、非正規雇用では199万円以下の人が74%だ。都合のいい数字ばかりあげて鉄面皮だ」と言ったら、この「鉄面皮」も削除要求を受けた。

 自民党の理事が事務所にやってきて、「戦争法」と「鉄面皮」を削除するよう求めた。ひどい申し出です。調べると「鉄面皮」という言葉は戦後50回使われている。1967年、社会党議員が「ウソツキ、ぺてん師、詐欺師、いかさま師、裏切り者、鉄面皮」とあげて「これが全部集積したのが自民党だ」と批判した。今回、鉄面皮と言っただけで削除要求。なんとちっちぇえ=Bメディアと教育をコントロールし、野党議員の発言さえ「ぼくちゃんの批判は許さない」と過剰反応する。

 私は昨年3月の段階ですでに何度も「戦争法案」と質問し、議事録にも載っている。4月1日から「戦争法案」という言葉が「不適切」になった。まさに歴史修正主義。今の国会の状況は驚くほどひどくなっているが、削除には応じず議事録はそのままです。

改憲勢力を倒そう

 頑張ってよかったと思えることが2つあります。

 2010年5月28日、辺野古新基地建設の閣議決定に署名を拒否し、大臣を罷免された。この時の記者会見で、「社民党は沖縄を裏切りません。これからさらに、全力で辺野古新基地反対で頑張る」と言いました。もしこの時、署名していたら、今のようにオール沖縄の闘いになっていただろうかと思う。

 そして「戦争法案」。昨年の流行語大賞候補になった。大賞になればもっとよかった。

 戦争法は憲法違反。廃止しかない。野党5党(現在4党)で2月19日、戦争法廃止法案を国会に提出しました。廃止法案が可決できるような状況を本当につくりたいと思っている。今起きていることは憲法クーデターです。クーデターは早く元に戻さないと大変なことになります。

 日本会議のある支部から勉強会の通知が来ました。「安保法から憲法改正へ」とタイトルが書かれていた。憲法改正が照準となっています。安倍総理は「在任中に憲法を改正する」と言った。参議院選挙で憲法改正の発議に必要な3分の2以上獲得をめざすと明言しています。これは「日本国憲法殺人事件」です。解釈改憲が「殺人の予備」、改悪発議が「殺人の実行着手」、改悪してしまうと「殺人の既遂」。予告された殺人の記録なわけです。安倍総理の本当にやりたいことは、おじいちゃんのやれなかった唯一のこと、憲法「改正」、これをやるんだということです。

 安倍総理のこの執念に、私たち一人ひとりの民主主義が勝たなくてはならない。それが、今度の参議院選挙です。

 おおさか維新の会について一言。おおさか維新は、新自由主義と憲法改悪、ポピュリズム(大衆迎合主義)とデマゴギー。その政治そのものがファシズムだと思う。イタリア哲学者ウンベルト・エーコの『永遠のファシズムのために』という本がある。ファシズムの14の指標が書かれている。男尊女卑、排外主義、ポピュリズム、わかりやすい言葉を使うニュースピーク言語などぴったりあてはまります。

 大阪都構想なんてインチキだ。安倍さんのインチキと橋下さんのインチキは違うようで中身は同じ。一方はボンボン風、一方はやんちゃ風にやるという差だけです。安倍総理は明らかにおおさか維新と組んで憲法「改正」しようとしている。自民党、公明党、おおさか維新が3分の2を占めたら絶対にだめです。両方を倒していきましょう。

生きさせろ

 2つ目。1%のための政治か、99%か。米国大統領選挙で民主党サンダース議員が躍進しています。民主社会主義者を自認して闘っています。公立大学の授業料無料化、富裕層への増税、時給15ドル以上。若者たちの圧倒的支持を得ています。日本も同じ。年収200万円以下の人が4分の1。母子家庭の母親は年間就労所得181万円。貧困率が上がり続けています。非正規雇用が4割を突破しています。まさに「生きさせろ。食べさせろ」。1%のための政治ではなく、99%の政治をすることです。     (続く)

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