2016年06月03日発行 1430号

【東京・足立区でシンポジウム 民間委託を許さない 公的労働に市民を雇え 税金は社会福祉に回せ】

 50兆円の市場を狙って進む自治体業務の民間委託。その最前線を走る東京都足立区で5月22日、「自治体事務事業の民間委託を考えるシンポジウム」が開かれた。

 自治体政策研究会の中川哲也さんは「憲法25条の生活水準を達成する政策基準を設定し、実現をめざすのが自治体の仕事。公的責任と判断が求められる業務の産業化は憲法違反だ。住民の人権を保障できなくなる」と指摘する。

 足立区は30年間で2500人を削減し、対住民比の職員数が東京23区で最も少ない。さらなる民間委託を強行する区の姿勢を、深澤健一・足立区職労書記長が批判した。「戸籍の窓口業務の委託では、待ち時間が長くなったトラブルを区長が謝罪。東京法務局や労働局からも指導され、一部業務を直営に戻した。国民健康保険業務の委託化の遅れにつながったが、派遣労働者を配置しようとした。しかし、応募が少なく結局職員にしわ寄せがきた」

 足立区議会議員の土屋のりこさんは、民間委託の現状について説明。「戸籍や保健所の窓口業務など41億円の事業を企業に開放することになる。公的労働を明日の見えない不安定雇用に置き換えていくことも問題。国や自治体は税金を大資本に投下するのではなく、市民を雇って社会福祉に還元すべき」

 主催した「平和と民主主義をともにつくる会・東京」の西岡信之事務局長も、自治体労働者だった経験を踏まえ、「住民の声を聞き、怒りを受けとめ、悩みを共有するのが自治体労働者の仕事。今すぐ非正規の職員をすべて正規職員に採用しよう」と訴え、6月6日に行う総務省への要請行動や、7月30日、31日「2016ZENKOin大阪」での「自治体民間委託反対分野別討議」への参加を呼びかけた。

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