2016年06月10日発行 1431号

【参院比例区福島みずほ講演 (中) 雇用破壊、教育・社会保障削減をやめろ 税金の使い道を変えよう 福島みずほさんとともに】

 前号に続き、5月11日「囲む集い」での参院比例区予定候補の社民党・福島みずほ参議院議員の報告要旨を紹介する(まとめは編集部)。

教育や社会保障を

 安倍政権は、今雇用を壊しています。昨年、派遣法の改悪を成立させ、生涯派遣のまま働かせることができるようにした。今国会では、労働基準法の改悪法が継続審議になっています。条文では、平均年収の3倍以上の人(年収1千万円といわれている)は一切の労働時間の規制がなくなる。残業の概念も残業代不払いの概念もなくなる。「残業代不払い法案」「残業代不払い合法化法案」「過労死促進法案」「家族解体法案」「子育て妨害法案」だと厚生労働委員会で闘っている。

 派遣法の改悪もこの労働基準法の改悪も人件費の削減が目的。大企業のために年収をガンガン下げるようにする。これは今も没落し続けているホワイトカラー層のさらなる没落をもたらし、非正規雇用にも影響を与えます。

 社会保障のカットも問題。骨太方針で3年間1兆5千億円削減といわれる。小泉構造改革の時、年2200億円ずつ5年間削ったために、リハビリが削られ、公立病院が倒れた。本当にひどかった。

 今度は年5千億円削減です。生活保護引き下げ、介護・医療改悪、年金の抑制、障害者総合支援法による障害者切り捨て。将来は介護の一元化などどんどん社会保障が改悪されている。介護では、要支援1・2は通所、訪問サービスが介護保険給付からはずされた。年収280万円以上だと2割負担なので、負担が増えて特養老人ホームから出なければならなくなる。特養への入所は原則として要介護3以上に。さらにひどいのは、厚労省の社会保障審議会で、要介護1・2も介護保険給付からはずしては、生活支援、買い物、料理をはずしてはと議論されている。

 私たちの税金が本当に教育や社会保障に使われているのか。消費税は社会保障のためと言いながら、介護には54億円しか入らない。違うだろう。

「日本は裕福」?

 子どもの貧困、女性の貧困、高齢者の貧困、子どものいる家庭の貧困問題。年収400万円で公立中学と私立高校の子どもがいると可処分所得は200万円を切ってしまう。かつて教育は貧困から脱出する手段だったが、今は教育は貧困の原因になっている状態。国会で貧困問題を問うと安倍総理は「日本は裕福な国だ」と答える。貧困率の高さをどう見ているのか。

 給食でしか必要な栄養が取れない子、制服が買えない子、親のリストラで高校を中退し大学進学を断念する子どもたちのことが、国民年金では暮らしていけないという声が、どうして分からないのか。世襲貴族のような人たちが「俺様の俺様による俺様のための政治」、1%のための政治を行っているのです。

 国立大学の授業料は約54万円になった。私立大学の授業料と入学金は100万円を突破している。両親のすねは丹頂鶴の様に細くなっています。大学生の半分は奨学金を受けている。有利子が7割、延滞金もかかる。奨学金というより教育ローンだ。貧困ビジネスではないかと思う。借金が300万円から1千万円という大学生にたくさん出会った。社会人になる時すでに何百万の借金を背負い、しかもブラック企業でやめられない。大変な状況だ。

 日本学生支援機構に返さなくていい奨学金はどれくらいあるか。ゼロです。自治体では持っているところが281自治体。世田谷区では5千万の税金と寄付で基金をつくっている。まず養護施設を卒業する子どもで大学、短大、専門学校に合格したら月3万円、年36万円の返さなくてよい奨学金を出している。そういうことをやるべきです。

無償化を、給付奨学金を

 がらくたオスプレイ1機200億円を17機買う。米軍への思いやり予算は5年間で1兆円、年2千億円つけることを承認した。「防衛予算」が初めて5兆円突破。私たちの税金が社会保障や教育支援に使われているのか。日本はOECD(経済協力開発機構)の中で、教育支援は最下位。これを変えるべきです。

 私たちはマイナンバーで透き通り預貯金もすべて把握される。海外に移転させる資産もない。パナマ文書が明らかにしたのは、日本の大企業や大富裕層はとっくの昔に、資産を海外に移し税金逃れをしてきた現状です。税金の取り方と使い方を変えることで社会や政治を変えよう。

 奨学金は無利子も増やさせ、給付型もつくらなければならない。大学授業料も上げない。欧州やカナダは大学の授業料と入学金は無料だ。日本でも高校の授業料の無償化、私立大学生への補助を。朝鮮学校の授業料無償化、これをやらなくてはならない。政府自身が差別を助長してはならない。高校の次は大学だ。

 国立大学の授業料、入学金すべて無料にするのに3315億円。私立大学は2兆6808億円。公立大学も合わせ、3兆976億円。その方向に進むべきだ。小中学校の給食費を無料化するには4568億円。出せない額ではない。みなさんとともに税金の使い道を本当に変えましょう。

原発を止める

 3つ目。脱原発か、推進か。5月2日、鹿児島に行ってきました。唯一動いている「川内原発を即時止めろ」。建設中の大間原発の30キロ圏内で避難計画をつくらなければならない函館市は、大間原発稼働の同意権があるはずだ、と裁判を東京地裁に提訴している。関西では、大飯・高浜で運転差し止めの判決・決定が出、大津地裁も高浜差し止めを認めた。裁判での勝ち負けはあるが、絶対止めたい。

 原発を止めるには、政府で止める、国会で止める、自治体で止める、裁判で止める、原子力規制委員会委員長で止めるの5つがある。まず国会で脱原発基本法案。とにかく提出して、ぜひ可決したい。自治体と協力し、裁判でも止めたい。    (続く)



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