2016年06月10日発行 1431号

【破たん隠しアベノミクス輸出/伊勢志摩サミット】

 「G7で協調して、金融政策、財政政策、構造政策を進め、『三本の矢』を放っていく。そのことを合意した。アベノミクスを世界で展開していく」―伊勢志摩サミット議長記者会見での安倍の発言。「リーマンショック以来の世界経済の落ち込みへの対応」と言うが、参院選対策の消費増税延期の口実であることは世界が見抜いている。

 リーマンショックを招いたのは国際金融資本のマネーゲームだった。世界規模での経済危機は、輸出主導でぼろもうけしてきた日本のグローバル資本の収益を悪化させ「派遣切り」「内定取り消し」が社会問題化した。ところが1%≠フ支配層が生み出したアベノミクスは、リーマンショックから何の教訓も得ず、金融緩和で投機マネーを供給し、円安誘導でグローバル資本の収益を向上させた。だが「富裕層が富めば、そのおこぼれが庶民にも回ってくる」というトリクルダウンは起きるわけもなく、1%≠セけが救済され、99%≠ェ収奪される構造は一層顕著になった。

 日本国内ではすでに破たんした「アベノミクスの世界展開」とは、グローバル資本の一時的な延命願望表明にすぎない。要は、先の見えない行き詰まり状態なのだ。

 リーマンショックを契機に世界中に広がったオキュパイ運動や反緊縮運動、反原発・戦争法反対で示された99%≠ノよる根本的な変革こそが展望だ。参院選での市民主導による野党共闘はその萌芽だ。
ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS