2016年06月10日発行 1431号

【「不登校対策法案」をめぐって/追いつめられる子どもたち/寄稿 NPO法人子どもと共に歩むフリースペースたんぽぽ 青島美千代さん】

 5月21日、不登校の子どもや親たちの相談を40年以上も続けている心理カウンセラーの内田良子(りょうこ)さんを迎えて、たんぽぽ子育て講演会を行いました。

 今国会に不登校対策法案=「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律案」が出されています。能力に合った適切な指導として、不登校の子どもたちを学校から排除し、株式会社まで含む民間に公教育の切り売りを進めるものです。安倍首相が東京シューレ(フリースクール)に直接足を運ぶなど、法案は教育再生実行会議の提言に基づき、馳文科大臣を中心に議員立法としてまとめられています。

 講演会は、その法案反対の運動が広がる真っただ中に行われました。内田さんは講演で、子どもたちの声にずっと耳を傾けてきた経験から、法案が成立すれば不登校の子だけでなく今以上に子どもたちが追いつめられ、命を落とすことになると話され、法案が採決されないよう請願署名や国会前でのスタンディングを呼びかけられました。

 また、どの子も学校を安心して(不利益を受けずに)休むことができるようにすること、学校から精神医療につながる状況が深刻化し、薬で苦しむ子どもがたくさんいること、学校を休めた子は命をつなぎ、学校に行き続けた子が命を落とす現状なども話され、子どもたちの状況が本当にギリギリのところにあることが参加者の心を動かしたと思います。

 私も、今まで出会った子どもの顔が浮かびました。学校へ行けないという理由で精神科の薬を飲まされ、入退院をくりかえしている子、怒りの気持ちが友達へと向かい、取り返しのつかないほど傷つけてしまった子…。何もできなかった自分自身の申し訳ない思いと一緒に、子どもたちに代わってその思いを伝えることが今の自分にできることだと思いました。

反対の声広げよう

 週明けに行われた国会議員会館前のスタンディングには、たんぽぽの講演会に参加した5名が「教育機会確保法NO!」などのプラカードを持ち、マイクで訴えました。参加者の中には、不登校を経験し、何度も命を絶とうとしたつらい思いを子どもたちにしてほしくないと沖縄から来られた方もいました。

 その後の交流会で、共産党の畑野君枝議員から、今国会での採決はなくなったと発表があった時は、拍手が起こり、周りにいた人たちと握手で喜び合いました。けれど、廃案になったわけではありません。参加者で、次の国会までみんなで学習し、法案のひどい内容を多くの人に伝えたり、署名を集めたりしながらもっともっと反対の声を広げていこうと話し合っています。

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