2016年06月10日発行 1431号

【みる…よむ…サナテレビ400/2016年5月28日配信 イラク平和テレビ局in Japan/タトゥー(入れ墨)は個人の権利だ】

 2016年4月、サナテレビは、イラクの若者の間で今ブームとなっているタトゥー(入れ墨)についてバグダッド市民にインタビューを行った。

 タトゥー店の経営者によると、映画やショーで外国の人が入れているタトゥーを見て自分も入れたいと来店する客が多いそうだ。紹介された様々なタトゥーは、自分に起こった出来事やキャラクターなどそれぞれの好みで描かれている。

 タトゥーについては、日本でもいろいろな受け止め方がある。芸術性を評価したり、個人の好みとして肯定的にとらえる人もいるだろうし、否定的にとらえる人もいるだろう。

 店主は「入れ墨は個人の自由の一部で、宗教とは関係がありません」と語る。「タトゥーは美術の一種で進歩の表明」と言う市民もいる。「図柄にチェ・ゲバラのような人物や指導者もあります。ゲバラは革命の指導者ですよ」と主張する人もいる。理髪師の男性は「私は、くしや椅子、はさみのタトゥーを入れました。恋人の絵を描いたり、恋人の名前を彫る人もいます」と答える。

 一方、かつて刑務所の囚人が犯罪者であったことを記録するためタトゥーを入れられたこともあり、怖がる人もいる。

 イラクでは宗教主義勢力がタトゥーに対する社会の否定的な意識に付け込んでタトゥーを入れる店を閉鎖させることがある。何と、タトゥーを禁止するファトワ(イスラム教の聖職者が出す宗教命令)がしょっちゅう出ているという。

 イスラム主義勢力はタトゥー禁止を人びとを支配し服従させる機会として利用している。ある市民は「宗教者はなぜ、タトゥーを入れている人だけを非難するのですか。お祈りをし断食をしているけれども、盗みをしている人たちもいる」と痛烈に批判する。

 タトゥーの問題はイラクだけで起こっているのではない。安倍政権の補完勢力であるおおさか維新が支配する大阪市政では、職員に対して入れ墨を入れているかどうかを答えさせる調査を命じ、拒否した職員を処分した。処分された職員は撤回を求めて闘っている。入れ墨を口実にした攻撃は、権力者が思い通りに人びとを支配する手段であることに全く変わりないのだ。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



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