2016年06月17日発行 1432号

【みるよむ (401) 2016年6月4日配信 イラク平和テレビ局in Japan イラク占領から13年―市民の怒り】

 2016年3月、サナテレビは、米軍による2003年の占領以降の13年をどう考えているのかについてバグダッド市民にインタビューを行った。

 イラクでは8年半にわたって占領が続き、さらに現在「イスラム国」(IS)による暴力支配と対市民テロ攻撃が広がっている。また、イラク、シリア全土で米国や西欧諸国、湾岸諸国などが激しい軍事介入を進めている。

 最初にインタビューに登場する市民活動家は「占領がイラク市民に残したのは、隅々にまで至るすべての悲惨と恐怖、殺人。そして宗派主義で腐敗した政府だ」と答える。「膨大な失業者と飢餓、財産の剥奪が続き、さらに新しい政治支配階級であるイスラム主義政権が被害を与えている」

 次に登場する大学教員のオサマ・アル・フルビーさんも「この13年間はサダム独裁政権の時代より悪い状態になった」と断言。「イラク市民は、安全も、自治体によるサービスも、医療も、教育も失った」と述べる。

 占領の口実に使われた「イラクの民主化と自由」についてはどうだろうか。ある男性は「私たちが見たのは、抑圧と、誘拐と、殺人と、無法状態です。私たちはジャングルの中で生活している」と批判する。

 2016ZENKOin大阪に来日するサミール・アディルさん(サナテレビ代表)は、占領直後から、米軍による無差別爆撃とイスラム主義勢力の対市民攻撃の中で「イラクは無法地帯のジャングルと同じだ」と言ってきた。この状況が延々と続いているのだ。

 5月、G7伊勢志摩サミットが開催された。参加した米国、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、EU(欧州連合)、日本の各国は、イラク占領の先頭に立つか、その後「イスラム国」に対抗との名目で軍事介入してきた国だ。対市民無差別爆撃を繰り返し、シリアで1千万人、イラクで400万人以上と言われる難民を作り出している。中でも日本の安倍首相は、自衛隊のイラク派兵を強力に推進した張本人だった。

 イラク戦争と占領に参加した日本政府の責任を検証し追及するとともに、平和で民主的な社会を求めるイラク市民と連帯しなければならない。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



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