2016年06月17日発行 1432号

【沖縄県議選 オール沖縄♂・長与党が大勝 辺野古阻止の民意さらに強固に 参院選勝利、全基地撤去へ】

「大勝利」と翁長知事

 やはり県民の多数は、辺野古新基地建設阻止の翁長雄志(おながたけし)沖縄県知事を先頭にしたオール沖縄会議を支持した。

 6月5日、沖縄県議会議員選挙の投開票が行われ、翁長県政与党は改選前より3議席を増やし、全48議席の過半数を超え27議席を確保。翁長知事は「大勝利だ。辺野古断念を政府に求める」と自信に満ちた姿で語った。

 翁長県政発足後初の県議選。あらゆる手法で辺野古新基地建設を阻止≠ニ主張する翁長知事が県議会で与党多数を維持できるのか、それとも自民党・公明党の野党に勢力逆転を許すのか、が最大の焦点として戦われた。

 告示直前には、米軍属による女性暴行・殺人・遺棄事件が明らかになった。安倍政権を支える自民党沖縄県連、公明党沖縄県本部所属の候補者も海兵隊縮小、基地の整理・縮小を唱え、公明党沖縄にいたっては辺野古移設反対まで公約にした。県民を愚弄するにもほどがある。それほどまでに凶悪事件への怒りが広がる世論を自公も意識せざるを得なかったのだ。

 もし自公の県政野党会派が過半数を制すれば、翁長県政の辺野古阻止のための訪米予算をはじめ諸費用にストップがかけられる。オール沖縄会議としては負けられない選挙戦だった。一方、自公・安倍らは、県議選勝利を7月参院選で新基地推進の沖縄担当大臣・島尻安伊子勝利につなげ、沖縄の風が変わった、沖縄でも安倍政権は信任された≠ニのデタラメ宣伝に利用しようと狙った。安倍打倒への参院選情勢の全国的趨勢に通じる重要な闘いだった。


那覇市で狩俣さん当選

 とりわけ那覇市・南部離島選挙区は11議席に18人が立候補。最大の激戦区となった。

 MDSと全交沖縄が支持し選挙戦でも連日応援を続けてきた社民党沖縄県連副委員長の狩俣信子さんが見事に4選を果たした。狩俣さんは、辺野古の闘いはもとより、09年の那覇市無防備平和条例制定運動をはじめ奨学金返済に悩む人の会、大学非常勤講師ユニオンなどの運動を全面的に支援・協力し、現在沖縄の子どもの貧困問題にも積極的に取り組んでいる。

 当選の一報が入った狩俣事務所は、歓声が上がるとともにみな涙があふれた。狩俣さんは「翁長知事を支え、辺野古はノー。とにかく海兵隊の撤退をめざす。子どもの貧困、障害者、高齢者、やりたいことはたくさんある。この4年間走り続けたい」と改めて決意と抱負を語った。

 県議会与党会派は、オール沖縄会議の路線を継承し、今後も新基地阻止の翁長県政とともに歩む。

18〜19歳も全基地撤去

 5月30日〜6月1日に県内メディアが行った県民世論調査結果が発表された。

 米軍属による事件を受け、事件事故を防ぐためには「沖縄からの全基地撤去」を望む声が43%と最も多く、海兵隊をどうすべきかには「全面撤退」が53%と過半数を超えた。日米地位協定は、「根本的改定」が45%と最多で「全面撤廃」も34%。「運用改善」の15%を大幅に上回っている。辺野古新基地建設については、「反対」が過去最高レベルの83・8%という驚異的な数字だ。民意は、もう沖縄に新しい米軍基地はいらない、地位協定の運用改善では何も変わらない、全基地撤去しかない、と鮮明だ。世論調査で改めて明らかになった。

 また、新たに有権者となる18、19歳の若者でも「全基地撤去」が最も多かった。辺野古キャンプ・シュワブゲート前のリーダーである山城博治さん(沖縄平和運動センター議長)は「運動の支えになる。心強い」と笑顔で語る。

どこが「再発防止」か

 女性殺害事件への憤りがおさまらぬ5月31日。今度は、米軍嘉手納基地内に勤務する米軍属2人を含む4人が覚せい剤取締法違反と麻薬特例法違反、大麻取締法違反容疑で逮捕された。さらに、県議選当日の6月5日、酒酔い運転で国道58号を逆走し正面衝突で重傷人身事故を起こした嘉手納基地所属の米海軍2等兵曹が現行犯逮捕された。呼気から基準値6倍のアルコールが検知された。

 これらは何を意味するか。米軍・米兵は、女性殺害事件が発生しても何ら反省も自粛もしていないばかりか、新しく発表された飲酒規制や基地外での遊興門限制限もまったく無視していることだ。

 「綱紀粛正、再発防止策の徹底」など日米両政府の戯言(たわごと)でしかない。日米地位協定の対象から米兵ではない軍属を外すことを両政府が検討と報道されるが、そんなことで問題が解決するわけがない。

 日米安保条約の廃棄、日米地位協定の全面撤廃と米軍全基地撤去以外に、米軍・米兵の蛮行を根本から止める手段はもはやない。   (N)



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