2016年06月17日発行 1432号

【原発事故被害者団体が共同で申し入れ/住宅の無償提供を打ち切るな】

共闘のスタート

 原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)と原発被害者訴訟原告団全国連絡会(全訴連)は5月30日、「住宅の無償提供継続を要求する」共同声明を発した。声明には、呼びかけられてからわずか1週間で540人を超える全国の避難者が賛同を寄せた。

 同日、福島市内で開かれた「住まいを奪うな!住宅提供・区域指定・賠償の継続を求める共同行動&デモ&福島県申し入れ行動」には、約100人が参加した。両団体が共同行動を行うのは初めて。10か月後に迫った区域外避難者への住宅提供打ち切りは、区域内避難者への避難指示解除・賠償打ち切りと連動しており、原発事故被害者全体の課題として受けとめられている。行動は全被害者による棄民政策との闘いのスタートとなった。

 集会で、全訴連共同代表の「生業(なりわい)を返せ!地域を返せ!福島原発訴訟」中島孝原告団長は「住宅打ち切り・避難指示解除・賠償打ち切りは原発再稼働のための3点セット。年間20ミリシーベルトという根も葉もない数字で“もはや被害はない”とは、いのちと健康の切り捨て宣言だ。きょうの2団体行動は全国の被害者の願いに沿ったものと確信する。闘いを大きく広げていこう」。

 ひだんれんからは武藤類子・福島原発告訴団長が「国や県は被害者を見えなくすることで、原発事故そのものを終わらせようとしている。被曝を避けたい、もとの暮らしに戻りたいという当然の要求を訴え続けなければならない。声明賛同の広がりは、非常に危機感を持っていることの表れ。きょう2団体が一緒に行動することは大きな意味と力を持ち、うれしい」と共闘のスタートを歓迎した。

避難者の声を聞け

 集会には17団体が参加し、4団体があいさつ。原発賠償京都訴訟原告団共同代表の福島敦子さんは「共同集会は待ちに待っていた。交渉で福島県は『(避難区域外の)みなさんはふつうに暮らしている』と言うが、被曝する生活はおかしい。被曝しない権利をかちとりたい」。福島原発被災者フォーラム山形・福島代表の武田徹さんは「内堀知事は全国の避難者の生活を見て歩け。山形では1万を超える署名を集め、県内自治体への請願運動を進めている。国政ではなんとしても自民党を減らし、変えていかねばならない」と訴えた。

 集会後は、県庁まで約2キロを「住まいを奪うな」「被害者の声を聞け」と行進。その後、参加団体代表は県の担当課を訪れ、共同声明と内堀知事との会合を求める申し入れ書を手渡した。福島県の支援策の問題点などについて6月中旬までに話し合いの場を設ける、毎月1回会合をもち住宅問題・避難指示解除問題に取り組む、など3点を要望した。

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