2016年07月01日発行 1434号

【戦争法批判から逃げ回る自民・公明/参院選で戦争法廃止へ】

山口公明代表のウソ

 戦争法は参院選の最大の争点である改憲と対を成す。実質的な改憲であるからだ。戦争法廃止を争点とする参院選は「戦争する政府」か「戦争をしない政府」かの選択だ。

 与党・公明党の山口那津男(なつお)代表は、6月14日のインタビューで戦争法について「今回の選挙で争点となるのは非現実的だ」と述べた。「もう昨年の国会で一部野党との修正合意も実った上で可決、成立した」「今度の国会では何ら議論になっていない。野党の一部は、廃止法案を出したりしたが、議論を求める強い空気はまったくなかった」とまで開き直った。

 山口代表は「円満成立」したかのようにいうが、戦争法は、その反対を訴え連日国会を包囲した市民とこれに呼応した野党の抵抗にあった。参院の委員会審議では、「議場騒然・聴取不能」と速記録に記されているように、いつ採決されたのかもわからないまま「成立」したことにされている。

 その後も、野党は臨時国会の開催を要求したが、安倍政権は憲法を無視してまで開催を拒(こば)んだ。

 2月に提出された廃止法案は4か月たっても委員会審議で足止めを食っている。法案提出後、2か月で衆院本会議を通過させた「成立」時の審議スピードとは正反対だ。これらは、安倍政権が「これから粘り強くていねいに説明を行っていきたい」との自らの言葉に一切責任を持たず、市民の批判から逃げ回っているためだ。

 なにより戦争法廃止2000万人署名が全国1200万筆以上集まってすでに提出され、「廃止法案」が出されていること自体、国会での議論が強く求められている証しだ。しかも、戦争法の違憲性を問う集団訴訟も始まっている。

 公明党・山口代表の主張はまったく事実に反している。

相次ぐ訴訟

 4月26日、安保法制違憲訴訟の会は、東京地裁に「安保法制違憲・差止請求訴訟」「安保法制違憲・損害賠償請求訴訟」(原告509人。http://anpoiken.jp/2016/04/)を提起した。

 戦争法による集団的自衛権行使・多国籍軍への「後方支援」等が憲法第9条違反にあたるという法律そのものが持つ違憲性、違憲の法律を憲法尊重擁護義務を負う国務大臣・国会議員が制定する行為の持つ違憲性などを指摘。これら戦争法制定過程で行われた立憲主義・民主主義破壊と、戦争法が発動され実際に自衛隊が派兵されることによる、平和的生存権、人格権、憲法制定・決定権の侵害を批判している。そして、政府に自衛隊派兵をさせないこと、これらによる人権侵害を賠償することを求めた。

 弁護団の伊藤真(まこと)弁護士は「訴訟のゴールは、立憲主義と国民主権の回復。そのために違憲の安保法制を廃止させることが必要。また憲法を守ることが、国会議員の最大のコンプライアンス(法令遵守)だ。その当たり前のことを、この国に根付かせなければならない」と述べている。

 東京以外にも同日に福島で原告204人、5月6日には高知で32人、6月に入って6日大阪718人・長崎118人、17日岡山約400人と提訴が続いている。

立憲主義取り戻す

 最大10数万人を集め「成立」後も続く国会抗議行動、廃止法案の提出、2000万人署名の全国展開、各地で提訴され提訴が準備されている訴訟。これらは、いまも戦争法が市民の根強い憤りの対象となっていることを示している。安倍・山口は戦争できる国にし、政権を維持するために、再び戦争法がクローズアップされることを恐れているのだ。

 戦争法を争点とする参院選は、戦争法廃止法案を可決し、立憲主義を取り戻すための第1歩だ。



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