2016年07月01日発行 1434号

【韓国総選挙・与党敗北に追い込んだ青年ネットワーク(下)/ネガティブ評価をくつがえした20代】

 韓国の総選挙で与党を過半数割れに追い込んだ青年運動ネットワークの活動につて、前号に続き紹介する。(まとめは編集部)


政治の主体に

 投票10日前に行ったフラッシュモブ。「民主主義デザイナー」という団体の女性が踊りをつくった。結成して3か月の団体だ。彼女は最初、市民団体を嫌がっていた。集団で過激に行動することに興味はなかった。だが現在、「それは誤解だった」と言っている。彼女にとって、団体をつくり、応援することは貴重な経験となった。主体的に表に出るようになった。この運動だけでなく、様々な社会運動に関心を持つようになった。彼女は最低賃金に関する踊りもつくって、フラッシュ・モブをしている。

 選挙後、選挙は初めてという20人ぐらいの若者になぜ投票に行ったのか、インタビューした。「応援する候補はいないが、投票ぐらいは行かないと」、「投票する、しないと批評を受けるより、投票をした結果を批評されたい」などの声があったが、多くの人はパク・クネ大統領を下ろしたいとの気持ちからだった。

 「20代ケッセキ(犬畜生)論」というのがある。漢陽(ハニャン)大学の教授が、07年の大統領選、08年のハンナラ党第1党と、社会全体が保守化した時、原因は投票率の低い20代のせいだと言った。若者たちはその後ずっと聞かされ続けてきた。

 若者を否定的に評価する言葉は他にもたくさんある。例えば、就職、結婚、出産を放棄した「3放世代」、マイホームと人間関係が加わった「5放」、夢と希望を放棄し「7放」、ついには無数のものを放棄した「N放世代」と呼ばれる。

 20代の若者には雪辱したい気持ちがあった。どう思われているかを通り越して、自ら描くいい社会とは、望む変化とは何なのかを考え、発言していこうとなった。ここ10年というもの自分たちを表現する機会はなかったので、今回の総選挙がそのきっかけとなった。

 主体的な政治を自分たちで勝ち取りたいとの思いが、投票行動につながったと思っている。


多様な要求を掲げて

 12の政策要求(表)について紹介したい。1労働、2住居から12青年基本法まである。

 賃金や住居など与野党で意見が割れるものを前に出すか、青年基本法など共通するものを前に出すか悩んだ。

 若者に関する制度に世の中の理解が低いので、さまざまな器をつくっていくことが必要であり、青年基本法をメインに打ち出したいと思った。この青年基本法が実現すれば、その他の政策にも変化が起こるのではないかと考えている。セヌリ党や国民の党まで含めて、すべての政党は青年基本法を重視すると言っている。

 日本の参院選は韓国でも熱い関心を集めている。安倍政権は軍国主義に走っている。韓国をはじめアジアの脅威である。韓国では軍事演習が行われるなど切迫した状況の中で選挙が行われたので、期待感もなかったし、状況を変える力もなかった。それが、結果としてセヌリ党を引きずり下ろした。これはみなさんにも大きな影響を与えていると思う。たった一人でもいいから投票所に行ってくれればいいとのささやかな思い、次世代に何か変化が起こればいいなとの思いが、今回の結果につながったと思う。

 みなさんの選挙もあと少し、苦労も多いかもしれないが、動くことで得たものもある。みなさんに応援のメッセージを送る。選挙勝利の後に再会しましょう。   (終)

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