2016年07月08日発行 1435号

【1435号主張 参院選争点 改憲隠し許さない アベ政治のすべてに審判を】

改憲語らぬ安倍自民

 6月22日、参院選が公示された。市民と野党の共闘でアベ政治を終わらせる歴史的選挙だ。最大の意義は、自民・公明・おおさか維新らによる改憲を阻止することだ。

 安倍首相は熊本での第一声で「選挙戦の最大のテーマは経済政策」と都合の良い数字を並べ、アベノミクスの「成果」を自画自賛。宿願の改憲には一言も触れなかった。明らかな争点隠しだ。

 安倍は改憲について「参院選でしっかり訴える」(1/4年頭会見)と表明したが、選挙前には「争点にしない」(6/19)と逃げを打った。過去にもアベノミクスだけを前面に押し出し、選挙が終わると秘密保護法、戦争法を強行した。選挙に不利と見ればひた隠しにしながら、参院3分の2を確保すれば改憲発議に突き進む。戦争法発動、辺野古新基地建設を先駆けとし、緊急事態条項から国防軍創設という9条改憲による戦争体制づくり完成を許してはならない。待ったなしの課題だ。

新自由主義と英EU離脱

 アベノミクス=1%のための新自由主義的経済政策こそ、格差と貧困を拡大した元凶だ。

 同じ新自由主義推進の帰結は、英国国民投票でのEU離脱でも示された。根底には、EU―英国の新自由主義政策で生活を脅かされた民衆の不満がある。この不満は、新自由主義を疑問視し、緊縮財政の撤回と社会福祉拡充を求めるものであった。問われているのは、EUへの懐疑を排外主義へ誘導しようとする極右の企みを阻み、99%の民衆の国際連帯でEUを根本的に改革し、民主的な欧州を築くことである。

 英EU離脱による世界同時株安は、円安株高頼みのアベノミクスも直撃。新自由主義路線の破綻はいっそう鮮明となった。にもかかわらず、安倍はなお「アベノミクス推進、自公政治の安定を」と開き直る。さらなるウソを許してはならない。アベ政治延命は生活破壊と排外主義のはびこる社会への道だ。市民の命を軽んじるアベ暴走を止めなければ私たちの未来はない。

 優先すべきは、市民の命と暮らし、雇用の抜本的改善だ。非正規でなく正規雇用を拡大し、最低賃金時給1500円にし、保育・介護労働者の賃金を大幅に引き上げる。給付型奨学金を実現し、社会保障の拡充をはかる。財源は、5兆円もの軍事費、1兆円の新基地費用を削り、アベノミクスで儲けた大企業と富裕層に課税すれば十分確保できる。

改憲3分の2阻止へ

 世論調査(6/18〜6/19朝日)でも、「安倍政権のもとで賃金や雇用の改善が進んでいない」が69%、「野党が自民党の対抗勢力となることを期待する」が59%を占める。期待を集める野党共闘は、広範な市民の戦争法反対運動が生み出した。安倍が「民共野合」と激しく攻撃するのは、その力を恐れるからだ。とはいえ権力に迎合するマスコミの下では、野党共闘の実現だけで改憲反対勢力の支持拡大とはならない。今最も問われるのは、市民一人ひとりに働きかけ、対話し、投票行動で変えるうねりを作り出すことだ。

 参院選で改憲反対派を躍進させ、改憲勢力3分の2を阻もう。安倍を倒し、改憲・戦争・原発・貧困路線を転換させることは可能だ。ともに全力で闘おう。

 (6月26日)
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