2016年07月08日発行 1435号

【参院選スタート 最大争点アベ改憲隠しの異常さ 改憲4党3分の2を許すな】

メディアであきらめ誘導

 6月24日、全国各紙は一斉に参院選序盤調査を発表した。「改憲4党3分の2うかがう」(朝日)「与党改選過半数の勢い」(読売)など、ほとんど同じ見出しが紙面に並んだ。これは、安倍政権・自公与党が参院選争点から改憲問題を隠し、メディア支配によって、安倍改憲の危険性とごまかしへの批判がいまだ多数の市民には届いていないことを示す。権力側は、こうした報道でどうせ政治は変わらない≠ニ市民をあきらめに誘導しようとする。

 しかし一方、「1人区は野党共闘効果」(朝日)と2013年参院選との違いも指摘されている。個々の質問では、改憲反対、アベノミクス批判が多数を占める。「選挙区 5割は態度未定」(朝日)をはじめどの調査でも態度未定が3〜5割に達する。

 改憲隠しを今まで以上に徹底して暴き、安倍のごまかし批判を広げなければならない。

常軌逸した改憲隠し

 参院選で改憲4党(自民・公明・おおさか維新・日本のこころ)が3分の2を超えれば、改憲発議へと踏み出すことは明らかだ。おおさか維新の会などは通常国会で安倍内閣不信任決議に反対し、選挙戦でも改憲推進のエールを送り続ける。

 ところが、公示第一声でも、以降の遊説でも、安倍首相が「憲法改正」を口にすることは全くない。全24ページの自民党政策パンフレットでは末尾の10行のみ。CMにもホームページのアニメにも改憲は一切登場しない。

 党首討論で追及されると、安倍は「(憲法改正は)アバウトだから時間を割いていない」(6/21民放番組)。はては「条文をどう変えてゆくか決めるのは選挙ではなく国民投票だ」(6/21日本記者クラブ)とまで開き直る。追及されてしどろもどろになる姿を見せないために、テレビの党首討論は6月24日を最後に安倍は一切応じていない。

 それほど改憲隠しに必死になるのはなぜか。それは、世論が安倍政権の改憲策動に反対だからだ。昨年9月戦争法強行採決など憲法破壊に対する市民の怒りの再燃を何よりも恐れているのである。

 自民党二階総務会長は「自民がしゃにむに憲法改正のほうへ旗を振る姿勢を示したら、選挙に勝てない」(6/23朝日)と明言する。公明党幹部も「(事前調査で)3分の2に届くとなると、憲法改正が争点になってしまうから困る」(6/24朝日)と本音をもらす。

 実際、世論は、政府・メディア一体の改憲争点隠しにもかかわらず、公示前後でも「参院選後の憲法改正」について問うと「反対48%、賛成31%」(6/24朝日)、「反対45%、賛成35%」(6/24毎日)と反対が10ポイント以上多い。政府広報紙といえる読売の調査ですら「改憲発議可能な3分の2確保がよいか」には「そう思わない44%」が「よい40%」を上回る。

 この憲法改悪ノーの声が投票行動に動けば、改憲連合は少数に追い込める。

野党共闘におびえる

 安倍が恐れるもう一つは野党共闘だ。初めて全国32の1人区で実現した画期的な動きに、「民共野合」「民進党にはもれなく共産党がついてくる、気をつけよう甘い言葉と民進党」など品性のないヒステリックなレッテル貼りを行う。政権の意を受けたメディアも、党首討論で政策も理念も違う民進党と共産党がなぜ共闘か≠ホかり質問する。

 メディアが伝えないのは、この野党共闘は戦争法反対や2000万署名など市民の運動が実現させたことだ。

 運動を背景にした市民の要求は、4野党の共通政策(6/1)に盛り込まれた。内容は(1)安保法制(戦争法)の廃止と集団的自衛権行使容認の閣議決定撤回(2)アベノミクスによる国民生活の破壊、格差と貧困の拡大の是正(3)TPPや沖縄問題など、国民の声に耳を傾けない強権政治に反対(4)安倍政権のもとでの憲法改悪に反対、と明確だ。市民連合との政策合意(6/7)では、さらに辺野古新基地建設の中止なども明記された。

 この前進を確信し市民の意思を投票行動につなげなければならない。戦争法に反対した市民が今ともに動けば、改憲4党の3分の2を阻み安倍打倒に追い込むことは可能だ。

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