2016年07月08日発行 1435号

【議会を変える 市民と変える/東京都足立区議・土屋のりこ/子どもの貧困 区独自の調査を】

 足立区議会では1年ごとに所属委員会が改まります。今年度は「待機児童・子どもの貧困対策調査特別委員会」の担当となりました。

 さっそく6月議会から新委員会での活動がはじまり、陳情の審議や報告等への質問をおこないました。

 区民の方から「子どもの貧困率を足立区で独自に調査してほしい」という趣旨の陳情がだされており、継続審議となっています。

 貧困率とは、世帯収入から一人ひとりの所得を試算して順番に並べたとき、真ん中の人の所得の半分(貧困線)に届かない人の割合をさし、子どもの貧困率は、18歳未満でこの貧困線を下回る人の割合のことです。国の調査で2012年は過去最悪の16・3%、子どもの約6人に1人が貧困という現状です。

 子どもの貧困対策でトップランナーと自負する足立区なので、ぜひ調べてほしいと思い、いくつか質問しました。

 答弁の要点は、子どもの貧困に関する24の指標のうち経済状況をあらわすものはたった1つ、就学援助率しかないにもかかわらず、区独自の貧困率調査は考えていない、なぜなら対策の効果が現れにくいから、というものです。

 効果がわかりにくいから経済的な対策をおこなわない、という態度は貧困を生み出す源泉を放置することにほかなりません。まして就学援助制度は申請が基本で、援助を受けられる貧困な状態にあるのに様々な都合で申請できず受けていない子どもも多くいます。貧困の現状を正確にあらわす指標ではありません。就学援助率よりも実際の貧困は深いのです。

 沖縄県は都道府県で初めて独自の貧困率をだしました。愛知県や高知県、札幌市、熊本市なども独自の調査をおこなうと表明しています。

 区が独自に子どもの貧困率をだすには税務情報など区では把握でない数値もあるとのことですが、貧困の解消には経済対策を講じなければならないし、国任せにしていてはだめだと思います。

 子どもの貧困を解消していくためには、まず親御さんが安定した収入を得られる環境が必要不可欠です。区は役所業務を民間委託し不安定雇用を拡大するのではなく、正規の安定雇用をこそ区民のために拡大するべきです。

 区がおこなえる経済対策を多様に提起していきたいと考えています。

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