2016年07月15日発行 1436号

【1436号主張 歴史を画する参院選に 民意は改憲・戦争ノーだ】

 7月1日、バングラデシュの武装集団人質テロ事件で20人が死亡した。断じて許されないテロ行為を糾弾する。

 国際協力機構(JICA)関係者ら日本人7人が犠牲になった。同国では日本の巨額ODA(政府開発援助)でグローバル資本のための投資と開発が進行中だ。また、「対テロ2億ドル支援」安倍発言(15年1月)以降、日本はテロの標的≠ニなっている。安倍は事件を受け改めて「テロとの闘いへの貢献」を強調し、海外権益保護のための戦争法発動―派兵拡大と改憲策動をさらに強めようとしている。テロを呼び込む戦争国家づくりを許してはならない。

改憲隠しで逃げ回る

 7月10日投票の参院選は終盤を迎えた。安倍は徹底して争点隠しを続ける。街頭演説では改憲を一切口にしない。

 安倍―改憲連合が改憲発議可能な3分の2以上を確保するかどうかという重要な選挙にもかかわらず、マスコミは及び腰だ。3年前と6年前の参院選では公示後に4回ずつ開催された党首討論番組も、安倍側の拒否で今回はわずか1回だけ。あきらめや無関心が広がれば、組織票で議席をかすめ取ることを狙う自公に有利となる。

 そうした中、沖縄タイムス社説(6/30)は「選挙戦術として改憲論議を封印しているのなら、有権者をないがしろにした『争点隠し』と言わざるを得ない」「選挙後にどの条文を変えるのかを提示するというのであれば、有権者に投票の判断材料を示さず、選挙後の『白紙委任』を求めるようなものである」と真正面から批判した。安倍政権・大手メディア一体となった争点隠しは犯罪に等しい。

アベ政治継続は破滅の道

 安倍は一方、「アベノミクスのエンジンをふかす」と叫び続ける。そのアベノミクスの矛盾がまた噴き出した。

 国民年金などの積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2015年度決算で5兆円超の巨額の損失を出すことが明らかとなった。安倍政権は2014年10月に運用基準を変更し、国内外の株式の保有目安を24%から50%に倍増させた。市民の命に関わる年金資産を投資家の儲けの種に差し出したのである。安倍政権は決算の公式発表を参院選後の7月29日に先送りした。昨年までは8年連続で7月10日までに公表していた(7/2東京)。アベノミクス批判が強まることを避ける悪質な隠蔽だ。

 命よりカネ、生存権をも否定し、世界中で戦争するための改憲推進が安倍路線だ。アベ政治が継続すれば、格差と貧困は拡大し、戦争の危機が高まる。日本を破滅への道に進ませてはならない。

改憲反対の民意を示そう

 世論調査でも、安倍政権下の改憲について「反対48%、賛成31%」(6/24朝日)、「反対45%、賛成35%」(6/24毎日)と反対が10ポイント以上多い。読売・産経の調査でさえ「改憲発議可能な3分の2確保がよいと思うか」には「よいと思わない」が「よいと思う」を上回る。戦争法への批判も引き続き多数だ。

 この市民の声と運動が野党共闘をつくり出した。改憲ノー、戦争する国ノーの市民の力を改憲反対勢力の前進に結実させよう。改憲連合3分の2を阻止し、安倍を退陣に追い込もう。

 (7月3日)
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