2016年07月22日発行 1437号

【地方自治と民主主義を問う/のべ19自治体で意見書決議要請】

 米軍属による女性殺害事件が起き、6万5千の県民大会や「基地建設断念と海兵隊撤退を」(県議会決議)に示される沖縄県民の願いを足蹴にする安倍政権。前例のない熊本大地震でも鹿児島県川内(せんだい)原発の稼働を停止せず、危険な40年を超す老朽原発・高浜1、2号機の20年延長決めた政府・原子力規制委。民意を踏みにじり命を軽んじるアベ政治へ怒りは大きく広がっている。

 平和と民主主義をめざす全国交歓会(全交)は、6月にのべ19自治体議会で政府に対し意見書採択を求め請願や陳情などに取り組んだ。米軍属による女性殺害事件に抗議し在沖米軍基地の整理・縮小と辺野古新基地建設計画の断念を求める意見書、日米地位協定見直しを求める意見書、福井県高浜原発の再稼働反対を求める意見書などである。

辺野古新基地断念/日米地位協定見直し

 京都府向日(むこう)市議会では、「米元海兵隊員による沖縄・女性殺害事件を許さず、日米「地位協定」の見直しを求める意見書」が採択(6/24)された。これは昨年6月、12月議会での「辺野古の新基地建設の中止を求める意見書」(杉谷伸夫議員提案)採択に続くもの。賛同議員となり賛成討論を行った杉谷議員は「私たち自身の自治と民主主義の問題だ」と語る。

私たち自身の問題

 大坂府枚方(ひらかた)市議会では「日米地位協定の見直しを求める意見書」を手塚たかひろ議員が共産党と共同提案し、民進、連合会派の支持を得た。米軍の特権待遇の元凶である地位協定改善すら拒否する自公・おおさか維新が反対したため否決されたが、3票差という僅差となった。

 滋賀県議会、滋賀県大津市議会では、「女性殺害事件抗議、在沖米軍基地の整理・縮小、辺野古新基地建設計画断念を求める意見書」を請願し2週間かけ県・市の議会全会派に要請。しかし、多数を占める自公は滋賀県議会では「安全保障上なじまない」とし、大津市議会では反対討論さえせず否決した。

 一方、東京でも足立区(土屋のりこ議員紹介)、日野市(有賀精一議員紹介)など4議会で同様の請願・陳情が行なわれた。自公から「事件は遺憾だが、基地自体は必要だ」などの意見は出されたが、否決することはできず継続審議となった。


原発再稼働反対/避難者住宅支援継続

 原発再稼働に反対し、滋賀県議会、大津市議会では「運転開始から40 年を超える老朽原発である高浜原発1、2号機の再稼働反対意見書」を請願。大阪府寝屋川市議会、同大東市議会には陳情を行い、同時に大東市当局へ要請(6/10)を行なった。大津市議会の委員会審議では否決されたものの、多くの市民傍聴の中「福島事故を受けての40年原則は骨抜きにされた。先日、国で再稼働に認可が下りた。このタイミングで、影響を受ける大津市から意見を言うべき」と請願賛成意見が2会派から表明された。滋賀県議会でも、多数を頼む自公は黙殺を決め込んだが、自公以外の会派は賛成(退席2)し採択まで4票差に迫った。

 今回の取組みは、請願に賛同する会派も増え議会勢力を流動化させた。賛同しなかった会派も「心情は理解できる」(滋賀県議会)などの発言が各地でみられ、自公会派は反対理由さえ表明できない。

議会揺さぶる市民の声

 また、原発事故の避難者や支援者らの粘り強い働きかけで、「避難者用無償住宅支援の延長を行うことを求める意見書」(6/29京都府木津川市議会)や「避難者への住宅支援継続を求める請願」(6/17千葉県市川市議会)なども各地で採択されはじめた。

 アベ政治で生存権を脅かされているのは私たち市民だ。その世論を背景に全会派に粘り強く要請すれば、採択は可能だ。全国の自治体議会で引き続き意見書採択運動をおこし、沖縄新基地建設・原発推進をとめよう。

   (全交・中川哲也)

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