2016年07月22日発行 1437号

【みる…よむ…サナテレビ(405)/2016年7月9日配信 イラク平和テレビ局in Japan/アバディ首相のデモ制限を許さない】

 2016年5月、イラクのアバディ首相は政府機関や国会のあるバグダッド・グリーンゾーン前のデモを禁止しようとした。サナテレビはこの問題についてインタビューした。集会・表現の自由を抑え込むアバディ首相に対し、市民は次々と怒りの声を上げる。

 現在のイラクでは、石油価格の下落を口実とした緊縮策押し付けや失業者の増加、福祉・教育の切り捨てが進んでいる。「イスラム国」の対市民テロ攻撃が頻発しているにもかかわらず、アバディ政権は市民を守らない。先日も、バグダッドで爆弾攻撃によって二百数十人もの命が奪われた。こうした状況に怒りを持つ市民は10年以上も抗議デモを行ってきた。

 ところがアバディ政権は、政府中枢が置かれているグリーンゾーン前での市民のデモを禁止しようとしている。市民が怒るのも当然である。

 映像冒頭にあるように、現在もイラク市民は繰り返し大規模な政府抗議デモを行っている。中心地のひとつであるタハリール広場に集まった人たちは、自分たちの権利の正当性について確信に満ちている。

 弁護士は、政府に対して「イラク市民は強盗ではない。誘拐や略奪はしない」と抗議する。「誘拐や略奪をやるのは権力を握っている政党だ。その政党の中のギャングどもだ」と権力者の責任を追及する。

 ある市民は「イラクはアバディのためにあるのではない。市民の怒りを知れ。私は、35年間にわたって市民として何の権利も保障されていない。仕事もない。住むための土地もない」と怒りをぶつける。

 市民たちは、憲法上、政府にデモを制限する権利はないと明言する。国民が権力の源泉であり、行政府より上位にあるというわけだ。表現の自由、デモの権利など市民の基本的人権を制限するアバディ首相に対して「独裁の復活を許さない」と訴える。

 イラク政府のやり方は、憲法の改悪を狙う安倍政権とよく似ている。安倍は国民の意思を無視して戦争法を強行し、市民の人権を否定する憲法改悪を進めようとしている。さらに、このアバディ政権を経済援助で支えているのが安倍政権だ。基本的人権を奪う攻撃と闘うイラク市民に日本から連帯していきたい。

(イラク平和テレビ局 in Japan代表・森文洋)



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